ロンドンからの本格的な日帰り旅行の体験を探しているのなら、この首都（ロンドンのこと）からわずか数時間で行けるボーンマスなら間違いないだろう。

ボーンマスは有名人と縁が深い。J・R・R・トールキン氏が一時的に住んでいたのはここだった。メアリー・シェリーさんとパーシー・ビッシュ・シェリーさんが埋葬されているのはここだ。それから、ウィンストン・チャーチル氏が橋から落ちて、死にかけたのはここだった。

主要な名所は、11キロ続く金色の砂のビーチから突き出ているボーンマス桟橋だ。この長さ229メートルの桟橋の１インチごとに、することや見るところがたくさんある。屋内ロック・クライミングへ行こう。ライブ・パフォーマンスを見よう。ロック・キャンディー（イギリス名物の硬い棒状の砂糖菓子）を買おう。もしくは、結婚式をしよう。それから、この桟橋の終点に着いたら、ビーチまではるばる戻るジッブラインに乗ろう。

そして、何というビーチだろう。海は冷たいかもしれないが、やることがとてもたくさんあるので、海に入ってみる時間はないだろう。高さ30メートルの観覧車「ザ・ビッグ・ホイール」に乗って、高いところからの眺めを楽しもう。世界中の動物たちがいる水族館オーシャナリウムを訪れよう。ここでは、ペンギンやサメ、ウミガメに餌をやることができ、カワウソの愛嬌のある動きを楽しむことができる。

７月に行くなら、毎年恒例の「ボーンマス・ピア・トゥ・ピア・スイム」が見られるかもしれない。この催しでは、ウェットスーツを着た人々がボーンマス桟橋までビーチの別の桟橋ボスクーム桟橋から冷たい水中を2.3キロ泳ぐ。それは全て慈善活動のためで、誰もが大いに楽しむ。

ちょっと違ったものとしては、アラム・チャインを通る静かな散策をして、生い茂った木々の中を複数の橋を越えて歩こう。橋の１つは、チャーチル氏が落ちた場所にあると言われている。

最後に、桟橋へ戻り、パイ専門店「プロパー・コーニッシュ」で本来のコーニッシュパイ（刻んだ肉と野菜を半円形の生地に包んで焼いたコーンウォール地方のパイ料理）を食べよう。それらはおいしいので、「召し上がれ！」。

ハーバード大学は数十年間、収蔵品の中にマグナ・カルタの安価な写本があると推測していた。その写本は、1946年に27.50ドル―2025年換算では約450ドル（６万5,000円）―で同大学が購入した、汚れて色褪せた文書だった。

しかし、２人の研究者が、それにははるかに価値のあるもの―イギリスの国王エドワード１世によって作成された1300年の希少なバージョン―があると結論付けた。

原本のマグナ・カルタは、国王が法に従わなければならないという原則を1215年に構築し、世界中で憲法の基礎を形成してきた。原本の写本が４つあり、これまでに、1300年のバージョンは６つしか写本がないと考えられてきた。

「私の反応は、驚きの１つで、ある意味、これまでに知られていなかったマグナ・カルタを見つけられたはずだという畏敬の念でした」と、キングス・カレッジ・ロンドンの中世史の教授デイヴィッド・カーペンター氏は述べた。

カーペンター氏は、ハーバード大学の文書が本物であることを確認するため、イギリスのイースト・アングリア大学の中世史の教授ニコラス・ヴィンセント氏とチームを組んだ。

1300年版の他の６つの写本とそれを比較し、カーペンター氏は寸法が一致することを発見した。彼とヴィンセント氏はそれから、ハーバード大学の図書館職員が紫外線ライトとスペクトルイメージング（データ画像化手法の一つ）を使って作り出した画像を用いた。

それにより、彼らはテキストを一語一語比較することができ、「Edwardus」の最初の大文字の「E」と最初の行にある縦長の文字を含む手書きの文字も比較できた。

1215年の原本がイングランド国王ジョンによって印刷された後、その後の数十年間で―文書全体が書き記され、国王の印章で認定された1300年まで―他５つの版が書かれた。

1300年版のマグナ・カルタは、「以前のバージョンとは一連の細かい点で異なっており、１つ１つに変更が見られる」とカーペンター氏は述べた。

ハーバード大学は、本物であることを証明するために高い基準を満たさなければならず、「ものの見事に」それを満たしたとカーペンター氏は述べた。

ハーバード大学のぼろぼろの色褪せたマグナ・カルタの写本は、数百万ドルの価値があるとカーペンター氏は推定した―ハーバード大学にそれを売却する予定はないが。

経済産業省は５月14日、サイバーセキュリティの専門人材を2030年までに５万人に増やすという目標が盛り込まれた有識者会議の報告書を発表した。

具体的には、日本は、2016年に創設された国家資格「情報処理安全確保支援士」の取得者数を倍増したいと考えている。先月の時点で、約２万4,000人がこの資格を取得していた。

サイバーセキュリティの知識を持つ専門人材として、この資格の取得者はサイバーセキュリティ対策の立案や企業でのサイバー攻撃への対処を任される。

非営利団体ISC2による研究では、日本はサイバーセキュリティの専門人材が約11万人不足していることが示され、そのような専門人材を育成する緊急の必要性が強調された。

情報処理安全確保支援士の資格取得者は、資格を更新するためのコースを受けるため、３年ごとに10万円以上の手数料を支払わなければならない。

同委員会は報告書の中で、資格取得者がすでにサイバーセキュリティ対策で企業を助けているなら、2026年度から一部のコースを免除されるよう提案した。

31歳の日本人男性は、サッカーボールをドリブルしながら、２ヵ月半をかけてコルカタからニューデリーまで、インド国内約2,000キロを移動するという偉業を達成した。

インドの首都にある日本大使館で５月15日にゴールテープを切った後、萩原望さんはこの挑戦の間ずっと彼を応援してくれた友人たちと抱き合い、目に喜びの涙を浮かべた。

サッカーを通じてインド社会に貢献することに取り組んでいる萩原さんは、サッカーボールをドリブルして進んだ最長の旅の記録としてギネス世界記録に申請する予定だ。彼の快挙は、2023年に７日間で337キロをドリブルして移動したオーストラリア人男性が保持している現在の記録をはるかに上回る。

プロのユースチームと大学でのサッカーを含め、日本で19年間サッカーをした後、萩原さんは2021年に非政府組織のスタッフとしてインドにやって来た。彼は、このチームは国内で最も貧しい州の１つと言われるインド東部ビハール州で、子ども向けのサッカーチーム「FC Nono」を創設した。

「それは痛みに満ちた長い旅でした」と萩原さんは日本大使館に到着した後で語った。「痛みに満ちた長い旅だった。でも、挑戦する喜びを証明できた」。

カンヌ映画祭のレッドカーペットはきっと、世界で最も厳格にコントロールされたレッドカーペットだろう。今、この映画祭は新規定を追加した：裸禁止というものだ。

この映画祭でこれまでに裸が承認されたことは一度もないが、カンヌ映画祭はドレスコードの方針を第78回の映画祭の直前に更新し、「レッドカーペット及び映画祭の他のいかなる場所でも、裸は禁止される」と書かれている。

カンヌ映画祭よりずっと豪華ではない場所でも「シャツを着ていない人にはサービスをしない」という方針が標準的である一方で、最近の透き通ったドレスやヌードドレスの流行のために、今回の方針の改定は５月12日に広範な関心を引き起こした。

メディア向けの声明で、主催者はこの映画祭は「長い間、実施されていた特定の規則を規定の中で明白にした」と述べた。

「目的は、服装自体を規制することではなく、この催しの制度上の枠組みとフランスの法律に従って、レッドカーペットの上で全裸を禁止することだ」とこの声明には書かれていた。

カンヌ映画祭はウェブサイト上で、「特に大きな引きすそのある衣装など、ゲストの通行の適切な流れの妨げになり、劇場内での着席を難しくするだぶだぶの衣装は許可されていない」としている。

５月14日に複数の小学生を負傷させた埼玉県でのひき逃げ事件に関連して、警察は５月18日に42歳の中国人男性を逮捕した。

捜査関係者によると、鄧洪鵬容疑者は、彼が運転していた車が子どもたちにぶつかったことは認めたが、子どもたちが皆大丈夫だと言ったので現場を立ち去ったのだと主張した。

埼玉県三郷市の住民の鄧容疑者はその日、警察に出頭した。NHKの報道によると、ひき逃げ事件の現場をたまたま通りかかった別の車のドライブレコーダーに録画されていた運転手に酷似していたため、当局は彼に職務質問したという。

警察は、この事件以降の彼の行方と動機について、さらに捜査を進めているとNHKの報道は伝えた。

５月14日にSUV車が、三郷市の学校から歩いて帰宅していた約10人の小学生の集団に突っ込み、６年生の男子４人を負傷させた後、現場から逃走した。

車はその後、現場から約２キロ離れた居住者用駐車場で発見されて押収されたが、運転手はどこにも見当たらなかった。

モガディシュで５月18日、自爆攻撃者が軍事キャンプで登録するために待っていた新入隊員を標的にし、少なくとも13人が死亡、21人が負傷したと目撃者たちが述べた。

ソマリアの首都（モガディシュのこと）は、アル・カイダと関連を持つ過激派組織アル・シャバーブによって繰り返し標的にされてきた。アル・シャバーブは、10年以上に渡り、反乱を行なってきた。アル・シャバーブは、この組織によるイスラム法の厳格な解釈を強要するための取り組みの一環として、軍と政府の施設を頻繁に攻撃している。

「大きな爆発音がして、すぐに人々が四方八方に逃げ出した。あちこちに遺体があった」と、爆発を目撃したトゥクトゥク運転手のアブドゥルカディル・ハッサン・モハメド氏は語った。事件直後、犯行声明を出した組織はなかった。

訓練キャンプの警備隊に所属していた兵士のフセイン氏（フルネームは非公開）はAP通信に対し、「多くの若い新兵たちが辛抱強く列を作っていた」と証言した。

「爆発は壊滅的だった。多くの犠牲者を見た。攻撃者は新兵になりすまして列に紛れ、爆発させた」と述べた。死亡者の中には通行人の民間人５人も含まれていたという。

2023年７月にもモガディシュのジャーレ・シヤード軍事アカデミーで同様の攻撃があり、25人の兵士が死亡、70人が負傷した。この攻撃についてはアル・シャバブが犯行声明を出している。

テレビの元人気タレント・中居正広氏の弁護士は、フジテレビの元アナウンサーに中居氏が「性暴力」を加えたとされる第三者委員会の報告書に反論した。

フジテレビとその親会社のフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会による報告書には「極めて大きな問題がある」とこの弁護士は５月12日に声明で述べた。

この弁護士は、３月に発表された第三者委員会の報告書の背景にある証拠を５月26日までに公開するよう同委員会に要求した。

声明によると、弁護士は中居氏と面会し、文書を確認したが、「『性暴力』という日本語から一般的に想起される強制的な性的行為が発生したことを確認できなかった」という。

この声明は、第三者委員会の報告書を「暴力犯罪を想像させる言葉を無責任に使用している」として批判した。

さらにこの声明は、中居氏は守秘義務契約にとらわれず、３月９日に第三者委員会との６時間に及ぶ面談を受け入れたが、その面談の内容は第三者委員会の報告書に「ほとんど反映されていなかった」と指摘した。

マヤ：

ザック、ハーイ。この間はごめんね。会議が長引いちゃって。今、時間あるなら私はプレゼンの残りを聞く準備万端よ。

ザック：

ごめん、もう終わっちゃったんだ。でもうまくいったよ。実は…ちょっと待って…ほら。このろうそくの話をしたんだ。

マヤ：

あ、そうよね。愛媛県内子町の和ろうそく。なんてきれいな箱かしら。（ザックが箱を開けて）わあ、時代劇から出てきたものみたい。実物を見たのは実は初めてなの。聞いたことはあったけど、思ってたのと全然違うわ。

ザック：

うん、普通のろうそくとはずいぶん違うよね。

マヤ：

芯がかなり太いのね。

ザック：

そうだよ。大量生産じゃなくて手作業で作られてるんだ。竹と和紙と、イグサっていう畳にも使われる硬い草と、真綿で作られるんだよ。

マヤ：

ろうが層になって重なっているように見えるわ。

ザック：

そうだよ。職人がろうを低温で溶かして芯を回転させながら擦り付けるんだ。ろうが乾いたらさらに層を重ねていって完成させる。ろうは植物性だから黒い煙がほとんど出ないんだ。火を付けてみよう。

マヤ：

美しいわ。

ザック：

それに芯のろうがたれてこない。

マヤ：

炎が大きくて美しいわ。吹き消しにくいの？

ザック：

そのためにこれがあるのさ。（箱の中から金属製のトングを取り出して）火が小さくなったら、このトングで芯を切り取ったり、火を消したりするんだ。

マヤ：

なんて洗練された職人技なのかしら。でも高価なんでしょうね。

ザック：

大森和蝋燭屋の10本入りのろうそくは１箱4,200円だったよ。普段使いにはできないのは確かだね。でも、優れた職人技を評価するなら、価格に見合う価値があるよ。

2025年の大阪・関西万博は、４月13日の開幕から５月13日で１ヵ月を迎えた。一日の入場者数は政府の予想を依然として下回っているが、このイベント（万博のこと）は多くの群衆を集め続けている。

専門家たちは、本当に試されるのは人出の増加が見込まれる８月だろうと述べ、暑さ対策と混雑の抑制対策の強化を促した。高度な外交的機会とこのイベントの経済波及効果を巡る期待も高まっている。

政府は、10月13日まで開かれる大阪・関西万博の開催期間中の来場者数を2,820万人と予想している―一日当たりの平均来場者数では15万人となる。これまでに、この基準が満たされた日はまだ１日もないが、過去の万博では一般的に、開催期間中の後半に人出の急増が見られてきた。

「安全の観点から、８月に暑さが激しくなる時に、一日に15万人から20万人が来場することを想定して今から準備を始めることが非常に重要だ」と万博の招致に関わった大阪公立大学の橋爪紳也教授は述べた。

大阪市を拠点とする民間シンクタンクのアジア太平洋研究所によると、万博の経済効果の合計は２兆7,500億円と予想されている。

ロシア出身の映画監督、ローマ・リベロフ氏は長い間、1917年のボルシェヴィキ革命後にロシアから逃げた作家たちに魅了されてきた。彼はいつの日か自分が亡命者になるとは想像していなかった。

リベロフ氏は、ロシアの人々が「国の人質」となっているということと、長期間くすぶっているウクライナとの対立が突如全面的な戦争に発展するだろうということを強く確信したため、2021年１月にロシアを離れた。

13ヵ月後、ロシアが隣国（ウクライナのこと）を侵攻した時、彼の恐れは現実になった。2023年に、彼は「外国人スパイ」に指定され、帰国することは非常に危険になった。しかしリベロフ氏は今でも、留まるべきだったのだろうかという疑念と戸惑いに苦しんでいると語った。

ロシアが１世紀以上前に革命と市民戦争により混乱した時、芸術家や音楽家、詩人を含む推定200人以上が海外へ避難した。

『ロリータ』の著者ヴラディーミル・ナボコフ氏など、西洋で有名になった人もいたが、ほぼ名が知れずに帰国できないまま暮らしていた人もいた。

リベロフ氏は、詩人のアンナ・アフマートヴァ氏のように、迫害の危険があるにもかかわらず、逆の選択をしてロシアに残った人々にも同等に魅了されている。

アフマートヴァ氏は、彼女の元恋人のボリス・アンレプ氏に対して彼女とロシアを置いて去ったことを非難する詩を数十篇書いた―それは、残された人々と、出ていった人々との間で現在起こっている「悲惨な会話」とリベロフ氏が呼ぶものの前触れとなった。

アフマートヴァ氏の詩の数篇が、リベロフ氏がロシアへの彼の別れと呼ぶものの中で、リベロフ氏によってまとめられたアルバム『Keys to Home』に含まれている。そのアルバムには、今も国内にいるアーティストの音楽が収められている。だが、リベロフ氏は、ロシア国内でパートナーを探すのは困難な過程であり、その過程の間に彼は「知らないほうが良かったこと」を知ったと述べた。

「人々は自己中心的で、恐ろしかった。嘘をつき、不誠実だった。人々は（私を）避け、反応しなかった」と彼は述べた。

しかし、彼は個人的に非難し返すことには関わることは拒否する。「もし私たちが国に残った人々を非難し、国に残った人々が国を去った人々を非難するなら、どこにもたどり着かず、ただ分断が広がるだけです」。

世界の親善航海中のメキシコ海軍の帆船が５月17日、ニューヨークのブルックリン橋に衝突し、船の３本のマストが折れ、２人の乗組員が死亡し、数人の乗組員が助けを待つ際に空中高くのマストから宙づりになったままになった。

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は、この142年前からある橋（ブルックリン橋のこと）は大きな損傷を免れたが、この船に乗っていた少なくとも19人に医学的治療が必要となったと述べた。

重傷を負った４人のうち２人が後に死亡したと、アダムス市長はソーシャルメディアで５月18日の早くに発表した。

衝突の原因は調査中だった。

複数の目撃者による映像に収められた場面では、「クアウテモック号」と呼ばれる船が、イーストリバーのブルックリン側近くにある橋に向かって高速で後退している様子が見られた。その後、船の３本のマストが橋の径間に次々と衝突し、折れていったが、船はそのまま進み続けた。

動画は、午後８時20分の衝突時に橋の径間では交通量が多かった様子を映していた。橋の上にいた人々でけがが報告された人はいなかった。

巨大なメキシコの旗を掲げ、277人が乗船していたこの船はその後、川の土手の桟橋に流れ着き、見物人たちは急いで逃げた。乗組員たちは折れたマストにしがみついたが、誰も落ちなかったと関係者らは述べた。

モロッコの女性たちは手袋を着けて植木ばさみを持ち、とげのあるイバラの間を縫うように進み、収穫物を切って手押し車の中へ入れていく。

「雨は本当にありがたいです」とバラを収穫するファティマ・エル・アラミさんは語った。「どこにでもバラはありますが、ここみたいなところはどこにもありません」。

彼女の言う通りだ。温暖な気温と安定した日照量、低い湿度により、ケラーア・メグナ周辺の畑は、この地域の特産品の花、ダマスクローズを育てるのに最適な栽培地になっている。今年の豊富な降水量と数回の砂漠の豪雨は、ローズウォーターとローズオイルを作るのに使われるこの花（ダマスクローズのこと）の例年にないほどの収穫量をモロッコに与えた。

ピンク色で香りの強いこのバラの今年の収穫量は、近隣のワルザザートにある農業開発地域事務所によると、4,800トンに上る予定で、2020年から2023年までの平均をはるかに上回る収穫量だという。

高アトラス地域にあるこの小さな町（ケアーラ・メグナのこと）は毎年、今では60年目を迎えた国際ローズ・フェスティバル中に活気づく。ケアーラ・メグナの入り口にあるバラの形のモニュメントからピンク色のタクシーに至るまで、ここではほとんど全てのものが、バラのテーマにこだわっている。

10代の若者たちは、野生のイバラのピンク色の花が咲き乱れる道路沿いで、ハート型のバラのダッシュボード・オーナメントを販売する。子どもたちはバラをテーマにしたメリーゴーラウンドの周りをぐるぐる回る。道路沿いのプラカードは、少なくとも６言語（英語、フランス語、アラビア語、スペイン語、日本語と、この地域に固有の言語のアマジグ語）でバラ製品を宣伝する。

町の外では、バラが今年、この地域中で1,020ヘクタールに広がっている。バラ１ヘクタール当たりに必要な水はほとんどなく、機会が乏しい地元の経済に120日間以上の仕事をもたらす。

地域職員たちは、バラの花はここの気候にうまく適応しており、文化―音楽、舞踊、結婚式などのお祝い―に根づいているため、バラ産業は持続可能な開発の最たる例だと話す。

「ここのバラは地域と、私たちが今暮らしている状況に完璧に適応しています」と、地元の農業開発事務所のアブデルアジズ・アイト・エンビリク所長は述べ、モロッコの長引く干ばつの状況に触れた。

バラ１キロ当たりの価値は、数年前よりも５倍から６倍高くなっている。モロッコが輸出する他のいくつかの農産物とは違って、ケラーア・メグナのバラは小規模農家で主に栽培され、点滴かんがいで栄養を与えられている。

バラは地元の経済の生命線と広くみなされているが、畑で骨を折って働く女性たちが得る収入は、収穫時期の一日当たり平均80～100モロッコ・ディルハム（1,200～1,500円）だ。

彼女たちが労働する畑から、バラはジャガイモ袋の中に入れられ、モハメド・アイト・ハメドさんの蒸留所のような地元の蒸留所に販売される。そこでは、バラがテーブルの上に広げられ、分別されて、最終的に、アランビック蒸留器として知られる銅製の大釜の中に入れられる。大釜の中でバラに蒸気が当てられ、濾されて、芳香蒸留水と高価な精油に精製される。この２つ（芳香蒸留水と精油のこと）はピンク色の小さなガラス製の小瓶の中に詰められるか、あるいは石けんや化粧水にされる。

モロッコで昔からさまざまな不調に効く自然療法として見られてきたローズ関連製品は、世界中で需要がますます高まっている。ローズウォーターとローズの精油は、香水や化粧水、顔用のミストに利用されることが多く、その甘く落ち着く香りと、抗炎症作用や抗菌作用を売りに市場で販売される。

万能薬やトニック、バームは最近、この地域中の地元の協同組合がスタッフを置いたブースで飛ぶように売れた。その需要は、農家に今後の数年間でバラの生産量を上げる動機を与える方策を見出すように、地元の職員たちを促した。

フェスティバルのパレードで、ドラマーがリズムに合わせてスティックをたたく中、今年のミス・ローズに輝いたファティマ・ザフラ・バーマキーさんは、花びらで飾られた山車から手を振った。彼女は、世界がいつかケラーア・メグナとここの砂漠のバラの美しさを知ることを望んでいると語った。しかし、騒ぎの中で、彼女はあることを思い起こした：

「花を摘む女性たちが、この全ての中で重要な人々です。彼女たちがここにいなかったら、これは何も存在しないでしょう」と彼女は述べた。

ウルグアイの元大統領であり、かつてマルクス主義ゲリラで花農家でもあったホセ・ムヒカ氏が、５月13日に89歳で亡くなった。彼は、その過激な民主主義のスタイル、率直な哲学、そして質素な生活で世界中の人々を魅了した。

彼の死は、左派の現職大統領ヤマンドゥ・オルシ氏によって発表された。ムヒカ氏は食道がんの治療を中止し、ホスピスケアを受ける決断をしてから４か月後に亡くなった。

「大統領、活動家、指導者、そして導き手」と、長年の政治的師であるムヒカ氏についてオルシ大統領は記し、その後ムヒカ氏の自宅を訪れて弔意を示した。

ムヒカ氏は昨年春に食道がんと診断され、それ以来治療を受けていた。放射線治療によって腫瘍の大部分は消失したが、彼の自己免疫疾患が回復を困難にした。

今年１月、ムヒカ氏の主治医は、がんが再発し肝臓に転移したことを明らかにした。左派政党「拡大戦線」の党首フェルナンド・ペレイラ氏によると、最期の数日間、ムヒカ氏は「自分が最期の時を迎えていることを理解していた」という。

食料や医薬品などの支援物資をイスラエルが約３ヵ月間封鎖していた後に、最初の数台の支援トラックが５月19日にガザ地区へ入ったとイスラエルと国連は発表し、イスラエルは、アメリカを含む同盟国からの高まる圧力を認めた。

ガザ地区への支援の調整の責任を担うイスラエルの防衛組織であるイスラエル占領地政府活動調整官組織（COGAT）によると、ベビーフードなどの切実に必要とされる支援物資を運ぶ５台のトラックが、ケレム・シャローム検問所を通って、200万人超のパレスチナ人がいる領土に入ったという。

国連の緊急援助責任者のトム・フレッチャー氏は、これを「歓迎すべき流れ」としたが、これらのトラックは「緊急に必要とされているものの大海に落とされた一滴の水に過ぎず、これでは焼け石に水だ」と述べた。食料安全保障専門家たちは、前週にガザ地区における飢きんを警告していた。３月にイスラエルが終わらせた直近の停戦中には、１日に約600台の支援トラックがガザ地区に入った。

フレッチャー氏は、さらに４台の国連のトラックがガザ地区に入ることを許されたと述べた。現地での混乱した状況を考慮すると、支援物資が略奪または盗難に遭う可能性があると国連の専門家たちは予想しているとフレッチャー氏は付け加えた。支援物資の略奪や盗難は、物資がますます乏しくなる中で高まっている問題だ。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザ地区への「最小限の」支援を再開する彼の決定は、パレスチナ人の領土（ガザ地区のこと）から来る「飢餓のイメージ」があるなら、同盟国はイスラエルの新しい軍事攻撃を支持できないと同盟国が伝えた後で出されたと述べた。

ガザ地区に最初のトラックが入ったとイスラエルが発表した直後、イギリス、フランス、カナダは厳しい言葉で書かれた共同声明を発表し、その支援を「まったく不十分」だと評した。これらの国々は、ガザ地区と占領されたヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの行動を理由に、経済制裁を含め、イスラエルに対する「具体的な行動」を警告し、５月19日に支援トラックが到着する前に始まった新たな空爆および地上作戦を指して、イスラエルに「言語道断な」軍事行動をやめるよう求めた。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、この共同声明を非難し、これを「10月７日のイスラエルへの大量殺戮攻撃に対する（ハマスへの）莫大な褒美」と呼んだ。

イギリスと欧州連合（EU）は、５月19日、防衛協力と貿易の円滑化に関する新たな合意を締結し、ブレグジット以来初となる正式な首脳会談において、両者の関係が新たな段階に入ったことを称えた。

イギリスがEUを離脱してから５年が経ち、ロンドンでキーア・スターマー首相が欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長や他の上級EU関係者と会談を行い、関係は再び緊密になりつつある。

スターマー首相は、これらの合意によって官僚的手続きを削減し、イギリス経済を成長させ、EU（27カ国の貿易圏）との関係を再構築すると述べた。一方、フォン・デア・ライエン委員長は、この会談を「歴史的瞬間」と呼び、双方に利益があると語った。

「イギリスは世界の舞台に戻ってきた」とスターマー首相は記者団に語り、「今回の合意はウィンウィンだ」と強調した。

スターマー首相は、今回のEUとの合意を、米国およびインドとの合意に続く３つ目の貿易協定として称賛し、「雇用に良く、生活費に良く、国境管理にも良い」と述べた。

しかし、イギリスの野党はこれらの合意を「ブレグジットからの後退」であり、「EUへの新たな屈服」だとして非難した。保守党のケミ・バデノック党首は、「我々は再びブリュッセルからのルールを受け入れる側になってしまっている」と述べた。

アメリカのドナルド・トランプ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と５月20日に電話会談し、ロシアとウクライナは停戦に向けた交渉を間もなく開始すると述べた。しかしロシア政府は、合意に達するには時間がかかるだろうと述べ、トランプ大統領はヨーロッパ諸国と共にロシア政府に圧力をかける新たな経済制裁を実施する気はないことを示唆した。

トランプ大統領は、ロシアの指導者（プーチン大統領のこと）との会談に続いてのグループ電話で、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と、欧州連合（EU）のトップ、フランス、イタリア、ドイツ、フィンランドの首脳に、その計画を伝えたと、ソーシャルメディアの投稿で述べた。

「ロシアとウクライナは停戦に向けて、そして、さらに重要なことに、終戦に向けて、交渉をすぐに開始する」とトランプ大統領は書き、その後、ホワイトハウスで「いくらかの進展がなされている」と思ったと付け加えた。

ヨーロッパ諸国の首脳は、トランプ大統領がプーチン大統領と電話で話した概要を彼らに伝えた後で、経済制裁を通じてロシアに対する圧力を強めることを決めたと、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相がXの投稿で５月20日の遅くに明らかにした。

トランプ大統領と話した後、プーチン大統領は、戦争を終わらせるための取り組みは「おおむね正しい道を進んでいる」と述べ、ロシア政府はウクライナと、実現する可能性がある和平協定に取り組む用意ができていると述べた。

「われわれはアメリカの大統領と、実現する可能性のある将来の和平協定に関する覚書に関してロシアが提案し、ウクライナ側とこれに取り組む用意ができているということで合意した」と、プーチン大統領は黒海のリゾート地ソチ近郊で報道陣に伝えた。

寒く湿気の多い朝、東京の大学の体育館の開いた扉から冷たい空気が入り込んでくる。しかし、そんなことは柿本蒼一郎さんと他30人の若いビジネスマンたちを心配させることはないようだ。彼らは週末の彼らのルーティン、チアリーディングの準備をしている。

「大変な時は笑おう！」と、背の高い１人の男性が熱烈な笑顔で叫んだ。他の人々―全員暗い色のスーツとネクタイを身に着けている―は、その空間を満たしているテンポの速い音楽に合わせて、こぶしを上下に激しく動かして踊る。

彼らの掛け声は、体育館中に響き渡る。

「そう、あなたはできる！　あなたは絶対にそれができる！　行け、日本！　頑張れ、日本！」

この若い男性たちは、彼らの驚きのアクロバティックなパフォーマンスで応援を広げるために、ショッピングモールなどの会場で週末にボランティア活動を行ない、群衆を楽しませている。

自分たちのことを「チアリーマンズ」―「チアリーディング」と「サラリーマン」の混成語―と呼ぶこのグループは2023年に結成され、エリート校・早稲田大学の男子チアリーディングチームの卒業生で構成されている。

彼らの平日の仕事は、不動産業からマーケティングに至るまでさまざまで、彼らはチアリーディングに対する情熱と職業生活とのバランスを取っている。練習のために、このチームはよく、大学の女子チアリーディングチームから体育館の半分をビスケットと交換で借りている。

シンクロナイズド・ルーティンで空中に７メートル飛ぶ日本の企業戦士たち（必死に働き会社に尽くす人）の珍しい光景により、パフォーマンスの際に彼らが着用しているストレッチの効いたユニクロのスーツを宣伝するインターネット広告の枠を彼らは勝ち取った。

最近の週末には、スーツを着た男性たちがショッピングモールで大勢の群衆を前に、重力に逆らうようなスタント、人間タワー、伝播力のあるエネルギーを伴ってパフォーマンスを行なった。

３ヵ月前にソーシャルメディアを通じてこのグループのことを知った61歳の主婦のヤマキヤスコさんは、そのショーを見るためにそこにいた。

「日本で私たちは皆、大変な思いをしています。ここにいるサラリーマンの皆さんが諦めずに懸命に努力しているのを見て、泣けてきました」と彼女は言った。「とても感銘を受けました」。

アレキサンダー・ヤシンさんはクローバーの香りの中にオペラを聴く。生まれたときから盲目で、その31歳の人（ヤシンさんのこと）は光と影しか見えない。ヤシンさんは、彼が調香するモスクワの香水工房の研究室の作業用の椅子に座り、新しいサンプルの深く吸い込むと、彼の顔はぱっと明るい笑顔になる。

ヤシンさんは、モスクワに拠点を置く香水ブランド「ピュア・センス」で働いている調香師の４人チームの１人だ―その調香師のうち３人が視覚障害者である。

創設者のエカテリーナ・ジンチェンコさんは、５年前に彼女が会社を設立した時、盲目の調香師を雇用し、彼女の会社の調香師たちが彼らの創造性を存分に発揮できる包摂的な雰囲気を育もうと努めている。

「包摂性とは、誰もが皆、自分の得意なことができることです」とこの29歳の人（ジンチェンコさんのこと）は語る。

ヤシンさんが働いている研究所の棚に並んでいるのは、精油と高濃度の香料が入った数十本の白い小瓶―彼の「香りのオルガン」と彼が呼ぶもの―だ。

「調香とは音楽のようなものです：私たちには音符―香りを構成する別々の要素―があり、コード―香りの音符の組み合わせ―があります」と彼は言う。

最後の作曲は、香水そのものだとヤシンさんは説明する。

彼は目が見えないことにより、嗅覚と聴覚が研ぎ澄まされていて、訓練を受けた文献学者で民族誌学者でもあるヤシンさんは、香水を作るために座っている時、旅する民族音楽のアンサンブルのメンバーだった時代の経験を活かしている。

「調香は、あらゆる芸術や工芸のように、全人生をかけて学ぶものです」と彼は話す。

彼女の会社が海外進出を狙う中で、ジンチェンコさんはカタログの多様性と彼女の会社の従業員のユニークな構成を強調している。

「私にとって起業家として重要なことは、（調香師たち）全員が彼ら独自のキャラクターを持ち、彼ら独自の香りのスタイルを持つことです」と彼女は述べる。

「私は、誰の新しい香水が誰のものか、（ラベルを）見なくても当てられます」。

仕事のマッチングサービスを提供する企業のマイナビが５月15日に発表した調査結果によると、配偶者が仕事を持つフルタイム労働者のほぼ半数が、家計が苦しいと回答したという。

共働き世帯の既婚の労働者を対象に実施されたこの調査では、回答者の46％が経済的に苦しいと感じていることが分かった。回答者は世帯の平均収入を806万円と報告したが、彼らの理想的な収入は1,126万円だと回答した―その差額は320万円だ。

この調査は、20歳から59歳の3,000人の男女から11月に回答を集め、回答者の85.8％が自分のパートナーはフルタイムの有給職に就いていると回答したにもかかわらず、仕事を持つ夫婦の多くが感じている経済的なストレスを浮き彫りにした。

経済的な不安は子どものいる世帯ではさらに顕著だった。子どものいる世帯では、平均収入はさらに多く、901万円だったが、それでも理想とされる1,247万円には届かなかった。

経済的に苦しんでいると答えた回答者は、世帯の平均収入を717万円と報告した―困難を経験していないと答えた人々よりも約170万円少なかった。

収入に関するストレスに加えて、この調査では、夫婦がどのように彼らの財務と家庭の仕事を管理しているのかも調査した。回答者の合計28.8％が、自分で使う毎月決まった額のお金を別にしておく「お小遣い制度」を使っていると報告した。お小遣い制度は、50代の夫婦の間で最も多く見られ、その使用率はその年齢層では31.2％に上った。

このデータは、家事労働とキャリアアップにおけるはっきりとしたジェンダー格差も明らかにした。平均して、男性は月に18.8時間の時間外労働を報告し、これに対し、女性は時間外労働が9.5時間だった。しかし、女性は家事をする時間が圧倒的に多く、男性の一日に1.4時間と比較して、女性は一日に2.5時間だった。

2024年の日本の共働き世帯は約1,300万世帯だった。

親欧州連合（EU）派の中道候補がルーマニアの大統領選挙で番狂わせを起こし、政治体制への人々の怒りを利用して第１回投票で勝利していた極右のナショナリストを破った。

しかし、この新しい指導者は今、緊迫した投票があらわにした社会の深い分断に対処しなければならない。

５月18日の第２回目の投票の最終結果は、ニクソル・ダン氏が投票の53.6％を勝ち取り、ジョルジェ・シミオン氏を上回った。シミオン氏は選挙活動中に、愛国心や主権、家族といった保守的な価値観を擁護するものと自身の活動を描写し、自身をアメリカのドナルド・トランプ大統領のルーマニア版と呼んだ。

親EU派の候補者の勝利は、旧東側諸国に入っていた国（ルーマニアのこと）が東側か西側かを選ぶ地政学的選択と多くの人々がみなしたこの緊迫した選挙における重大な巻き返しとなった。

しかし、西側寄りの改革派であり、55歳の数学者でブカレスト市長でもあるダン氏がルーマニアの大統領に就任する中、同国には依然として亀裂が残っている。そこでは、蔓延する汚職、不平等、そして伝統的な制度や政党への信頼の崩壊が、政治体制全体に対する幅広い拒否感を生んできた。

岡根谷実里さんの大好きな場所は台所だ。必ずしも自分の台所とは限らない。岡根谷さんは、世界中を旅してさまざまな人々の台所を訪ね、会話を通じて辺ぴな地域でもつながりを築いてきた「台所探検家」だ。「台所は、人々に元気と力を与える特別な場所です」と岡根谷さんは述べる。「料理を作って食べるという行為は、誰の顔にも笑顔をもたらします。私は、キッチンで働き、食事を生み出す力を持つ人々にとても強く惹かれます」。

台所の旅に出る前に、岡根谷さんは、世界中の人々が共有するレシピが掲載されている世界的な料理コミュニティーウェブサイト「クックパッド」で働いていた。岡根谷さんはこう語る：「私が人々の台所をもっと深く掘り下げる決意をしたのは、その会社にいた時でした。毎日キッチンに立っている人たちについて知りたいと思うようになりました」。

岡根谷さんは、台所はただ必要不可欠であるだけではなく、人々が集い、料理と食事の喜びや知恵を分かち合う場所でもあると話す。

彼女の知識と台所に対する情熱の全てがあっても、岡根谷さんはプロの料理人になりたいと思ったことは一度もないという。「私は、３世代同居の家で育ちました。母と祖母は家族のために料理をしていて、みんないつも台所で動き回っていました。私はその後、台所で働く人々に深い敬意を持つようになっていきました」。

岡根谷さんは、人々の暮らしを少しでも良くしたいという思いを育んだ。開発途上国のインフラを改善することを視野に入れ、東京大学で土木工学を学んだ。「高校では地理が大好きで、海外で働くという漠然とした思いがありました。土木工学は私に国際的なプロジェクトで働くスキルを備えさせてくれるだろうと考えました」。大学院在学中には、国連機関でインターンを経験し、ケニアでの現地プロジェクトに参加した。ケニアの村での彼女の滞在中に、住民たちは突然、道路が建設されようとしていると知らされた。「私はその道路が地元の人たちの助けになると思いました――そして実際にそうでした。それは新しく豊かな暮らしへの道を切り開いたんです。でも、その一方で、昔ながらの生活様式を壊してしまいました。犠牲が必要で、多くの人々が怒っていました」。岡根谷さんにとって、それを目の当たりにするのはつらいことだった。「インフラが必ずしも人々の暮らしを良くするわけではないと学びました」。対照的に、台所には誰もが自分の手で、日々の暮らしの中に幸せと力を生み出す可能性があることに気づいた。

台所と、そこで働く人々についてもっと知りたいという探求心から、岡根谷さんは30カ国以上、170を超える家庭を訪ねてきた。「台所はとても人間的な空間です。そして、人々が本当の意味で関わり合う場所でもあります」。その過程で、岡根谷さんは自分のコミュニケーション能力が高まっていることに気づいた――それは文法を完璧にすることで得られたのではなく、人の話を聞き、理解したいという気持ちと、自分の考えや気持ちを相手に伝えたいという思いによって得られたものだった。

「海外にいると、よく“英語はどこで学んだの？”と聞かれます。そして私が“日本です”と答えると、みんな驚きます。日本の英語教育はかなり良いと思います。文法重視なので、私たちは文構造についてたくさん学びます。ですが、英語は使うことで上達するツールだと私は実感しています。英語を使えば使うほど、上手になっていきます。間違いを恐れないでください。なぜなら、“伝えたい”という意志のほうが、正しさよりずっと大事だからです」。笑顔でいることや前向きでいることも、それ自体が立派なコミュニケーションスキルだと、岡根谷さんは語る。

トム・クルーズさんは５月14日、『ミッション：インポッシブル』のテーマ曲の生バンド演奏に合わせてカンヌ映画祭のレッドカーペットに登場した。このシリーズ作品へのこのアクションスター（トム・クルーズさんのこと）の最後の登場になるかもしれないこの機会を祝うために、主催者は全力を挙げた。

クルーズさんがカラフルな飛行パフォーマンスと共に『トップガン：マーヴェリック』を世に送り出した３年後に、彼がカンヌに来る期待は高かった。彼は演奏中にバンドに「わあ」「ブラボー」と口を動かしているのが見られた。

クルーズさん（62）は、フランスのリゾート地リヴィエラの容赦ない太陽の中で何時間も待っていたファンたちにあいさつした後、『ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング』の他のスターたちに加わってレッドカーペットの上を歩いた。

クルーズさんは、クリストファー・マッカリー監督のこのシリーズ作品の最新作で、８回目となるエージェントのイーサン・ハント役を再び演じる。この作品は推定４億ドル（600億円）という多額の予算の作品で、５月23日にアメリカの劇場で公開予定だ。

「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」で５月17日、オーストリアがスイスの開催都市バーゼルで優勝し、2014年にひげを生やした女装の女王コンチータ・ウルストさんが優勝して以来、初めてのオーストリアの優勝となった。

オペラ歌手のJJさんが、世界最大の音楽コンテストでイスラエルを抑えて優勝した。このコンテストは、世界中で１億6,000万人以上が視聴した。

この勝利は、オーストラリアにとってこのコンテストにおける３回目の優勝で、コンチータさんの成功と、1966年のウド・ユルゲンスさんの勝利に続くものだ。

ウィーン出身の24歳のJJさんは、彼の曲「Wasted Love」の中でオペラとテクノと高音の歌声という要素を組み合わせ、プロの審査員と電話投票者たちの心を勝ち取った。

スウェーデンのマルメで開催された昨年のコンテストでスイスのラップ・ミュージシャンで歌手のネモさんが優勝した後、スイスが今年のユーロビジョンの開催権を獲得した。

ヨーロッパ各地とその他の地域のファンたちがバーゼルに集まり、決勝を含めてユーロビジョンのイベントに10万人が参加した。

稀で危険な遺伝性疾患を持って生まれた乳児は、彼のためだけに作られた実験的な遺伝子編集治療を受けた後、成長し、元気に育っている。

研究者たちは新しい研究の中でこの症例を記述し、彼は、患児の半数を死亡させる遺伝情報の微細ではあるが致命的なエラーを修正しようとするカスタマイズされた治療法で治療が成功した最初の一人だとした。個別に対応した類似の治療法が他の患者にも利用可能になるまでしばらくかかるかもしれないが、症状が非常に稀であるために―遺伝子医療が発達してきても―取り残されている数百万人をこの技術がいつか助けることができるかもしれないと医師たちは期待する。

「これは、今のところは決定的治療法がない多様で稀な遺伝性疾患を治療する遺伝子編集治療の使用に向けた最初の一歩です」とペンシルベニア大学の遺伝子編集の専門家で、５月15日に『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌に掲載された研究論文の共同執筆者のキラン・ムスヌル医師は述べた。

この乳児、ペンシルベニア州クリフトン・ハイツのKJマルドゥーンさんは、この稀な疾患を持つ世界中で３億5,000万人の患者のうちの１人だ。この疾患のほとんどは、遺伝性だ。彼は生後すぐに、重度の「カルバミルリン酸合成酵素（CPS１）欠損症」と診断された。この欠損症の乳児は、体内からアンモニアを除去するのを助けるために必要な酵素が欠損しているため、アンモニアが血液内に蓄積し、毒性を持つ。肝臓移植が選択肢になる患者もいる。

KJさんの見通しの暗さを知り、両親のカイル・マルドゥーンさん（34）とニコル・マルドゥーンさん（34）は彼を亡くすかもしれないと心配した。

「私たちは、あらゆる選択肢を比較検討したようなもので、肝臓移植、これは侵襲性（切開などを伴うこと）ですが、肝臓移植か、それとも今までに一度も行なわれていない何かにするか、あらゆる質問をしました」とニコルさんは話した。

「私たちは祈りました。人々に話しました。情報を集めました。そして最終的に、これが私たちの行こうとしている道だと決断しました」と彼女の夫は付け加えた。

６ヵ月以内に、フィラデルフィア小児病院とペンシルベニア大学病院の医療チームは、彼らのパートナーたちと一緒に、KJさんの欠陥のある遺伝子を修正するために設計された治療法を作成した。彼らはクリスパー（遺伝子改変技術の一つ）を活用した。クリスパーの発明者はこの遺伝子編集ツールで2020年にノーベル賞を獲得した。

２月にKJさんは、肝臓細胞に取り込まれる脂質ナノ粒子と呼ばれる極小の脂肪小滴を通じて実施される遺伝子編集治療で、１回目の静脈内注射を受けた。

３月と４月の再度の投与の後、KJさんはさらに正常に食事ができるようになり、体に負担をかけ、CPS1欠損症の症状を悪化させうる風邪などの病気から良好に回復した。この９ヵ月半の人（KJさんのこと）は摂取する薬の量も減っている。

以前、予後不良（治療後の経過見通しが悪いこと）のことを考えて、「彼が到達した最小の節目―ちょっと手を振ることや、寝返りのような―でさえ、私たちがそれらを見るときはいつでも、それは私たちにとって大きな瞬間です」と彼の母親は話した。

それでも、研究者たちは、まだ数ヵ月しか経っていないと警告している。研究者たちは、彼を数年間観察する必要がある。

「私たちはまだ、この治療法がKJさんに何をもたらした可能性があるかを理解するかなり初期段階にいる」とアーレンス＝ニクラス医師は述べた。「しかし、毎日、彼は私たちに、彼が成長していて元気に育っている兆候を見せてくれています」。

ニュージーランドの非公式の国民的フルーツはニュージーランド原産ではない―南アメリカ原産だ。それはニュージーランドだけで見られるわけではない。そして、多分驚くべきことに、それはキウイではない。フェイジョアである。

他の場所では「パイナップル・グアバ」として知られているこのフルーツ―好みが二極化する味で、芳香のある緑色の卵型―は、カリフォルニア州やオーストラリアでも購入できる。それでも、ニュージーランドほど情熱あるいは執着をもって、フェイジョアを受け入れている国はないだろう。

フェイジョアは保存期間が短いため、ニュージーランド―フルーツの輸出が盛んな国―は、生産者らがりんごとキウイでそうしてきたように、フェイジョアを世界的なブランドにすることができていない。しかし、毎年このフルーツが熟す数週間という短い期間中に、この国はフェイジョアに夢中になる。

フェイジョアの魅力は、それがどのように入手されるかが理由の一部になっている。秋になると、裏庭の木々の下に落ちた果実がよい香りのするカーペットを作り、箱や袋、バケツにどっさりと入れられて、家の外や、職場の休憩室、近所のフェイスブックグループなどで、無料で提供される。フェイジョアを得るのにお金を一度も払わないことに誇りを持っているフェイジョア好きもいるくらいの豊富さがある。

「それは非商業化されたようなものです。私たちは店でフェイジョアを買うという考えをばかにします」と、『Feijoa: A Story of Obsession and Belonging』の著者ケイト・エヴァンズさんは語った。「フェイジョアはただでもらえると期待していいようなものです」。

ウェリントンの郊外で、ダイアナ・ウォード＝ピッカリングさんは今シーズン、裏庭にある５本の木から「何千個もの」フェイジョアを譲ったと話した。歩道の箱の中や、近所の人々へ、同僚たちへ、娘のまつ毛の施術者へ―要するに、フェイジョアが欲しいどんな友人にも、見知らぬ人にもあげた。

最近の日曜日、ウォード＝ピッカリングさんは地面の上に数十個ある中からフェイジョアを１つ選んで、それをスプーンで半分にし、白っぽいクリーミーな果肉をすくって口の中へ入れた。

「おいしい」と彼女は言った。しかし、一度にこのフルーツ（フェイジョアのこと）を１キロ食べることもできるが、それでも彼女の食欲でさえ、毎年４月にやってくるこの突然のふんだんな実りに追いつかないと彼女は話した。

「買う余裕のない人々もいます」とウォード＝ピッカリングさんは述べた。「私たちは喜んで差し上げますよ」。