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  3. 2019.1.25

Goodbye, old friendsさようなら、古い友達

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引っ越しの日が迫っている。ベルリンで7年過ごした後、ついに東京へ戻るときが来た。よく言われることは本当だ:去ることについて最も大変なことは友達にさよならを言うことだ。それはつまり、数十人の人たちとのハグや握手を意味する。しかし、そこでまた他にもいる:例外なく、毎日忠実に私のそばにいてくれた友人たちだ。博識ながら謙虚、ミステリアスながら分かりやすく、しっかりしていながら柔軟。置いていかなければならない全ての本のことだ。数えていないが、まだ私の本棚には数百冊が入っている。実は、あの本棚はずっと前にいっぱいになって、新しい本棚が床に積み重ねられ、私の部屋を迷路のようにしていた。こんなにたくさん、どうやって手に入れたのだろう?!

本は言葉をたくみに操る人になるのを助けてくれる。編集者や同僚たちが参考資料としてハードカバー本やペーパーバックを送ってくれた。こうして、日本で最近発売されたものがたくさん私の本棚に収められた。他の善意の知人たちはなぜか私が読書家であることを感じ取ったようで、おすすめの本をプレゼントしてくれた。

しかし、これは答えの一部でしかない。本が―特に中古の本が―私のまわりに集まって来やすい理由はヨーロッパのこの地域であるということに何かがある。つまり、冷戦の出版物である:1950年代から1990年代にかけてドイツで出版された東欧圏の国々のあらゆる作品である。それらは高品質の出版物であり、丁寧に扱われていたため、今でもよい状態にあり、古書店で流通している。例えば、ハンガリーの実践的な化学の入門書やソ連のチェスのマニュアル、ポーランドの宇宙ファンタジー―全てドイツ語に翻訳されたもの―に偶然出会った。今まで見たことのなかった、もう見ることはないかもしれない世界を、それらは私に見せてくれた。私が集めた子ども向けの本は特に啓発的だ。そうした本はいつも上手な挿絵がついていて、読みやすい。鉄のカーテンの反対側にあるその場所でその当時に育つのはどんな感じだったかをリアルに感じることができる。

こうした宝物の全て、もしくはほとんどでさえも、読んだとは言うことができないが、少なくともその全てに目は通した。読書経験と言うよりも、博物館に訪れたような感じがする。あるいは、それらをちょっと読んで、考古学者になったような、新しい秘密を発見したような感じがした。

だが悲しいかな、もう友達と離れるときが来た。他の読書家が熱心に私の本を数十冊譲り受けたが、それでも私の蔵書はほとんど減っていない。思い切った措置が必要かもしれない―明らかに、これら全てを日本へ持って帰ることはできない。いや、できるだろうか? ドイツ語を読める、あるいは学ぼうと思う人はどのくらいいるだろうか?

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