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  3. 2019.7.12

Project Uepekerウエペケレプロジェクト

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最初は私を含めて3人しかいなかった。私たちは、国籍も職業も違っていたが、皆、日本北部の先住民族であるアイヌ民族のひどい状況に対する懸念を持っていた。1999年2月に、私たちはウエペケレプロジェクトを始めるために札幌にある私の自宅で会った。私たちの長期目標は、アイヌ民族への世界的な関心を高めることで、アイヌ民族の民話を英語でもっと読めることにすることから始める計画だった。

ウエペケレは「物語」を意味するアイヌの言葉だ。アイヌ民族は書き言葉を持たないが、先見の明のあるひと握りの日本と欧米の学者たち、そして、アイヌの母語を話すことのできるアイヌの人のおかげで、アイヌの口承文学の多くは最後のアイヌの語り部が亡くなる前に記録された。私たちはすでに文字起こしされ、日本語に翻訳されたウエペケレを英訳することに重点的に取り組んだ。

私たちのチームのカナダ人のメンバーは、彼が受け持つEFL(外国語として学ぶ英語)の授業で何年もウエペケレを使用していた。彼はアイヌ民族の世界観と彼らの文化的価値をとても感心していた。日本人のメンバーは、アイヌ民族の共同財産に対するひどい扱いをめぐり、北海道庁を相手取った裁判を支援してきた、退職した教師だった。彼はアイヌ民族の尊厳と先住民の権利を保護するという観点からこのプロジェクトに近づいた。アメリカ人のプロ翻訳者として、私はアイヌ民族の口承文学への尊敬と、急速に失われつつあるストーリーテリングの伝統を守りたいという願いに動機づけられた。

私たち3人は皆、日本人とアイヌ民族の文化が出会い、混ざり合った北海道で育った。私たちは、アイヌ民族に強制的に彼ら独自の言語と文化を放棄させることによって、彼らを大多数の日本人の社会に同化させようとした政府による過去の政策の悲しい影響を自分の目で見てきた。

ウエペケレプロジェクトは成長し始め、より多くの国々と職業の支援者ができた。関わろうと思った理由は皆それぞれだった。もちろん、これにはアイヌ民族の子孫も含まれていた。私たちの最初の躍進は、私たちが翻訳した『アイヌネノアンアイヌ』がタトル出版から『The Ainu: A Story of Japan’s Original People』(2004年)として出版されたことだった。原典はアイヌ民族の記録に携わった活動家の故・萱野茂さんによって日本語で書かれており、萱野さんが育てられたアイヌ民族の伝統的な生活様式と価値観について挿絵付きで描写されたものだった。

2005年に、ウエペケレプロジェクトはアイヌ民族文化財団から助成金を受けて、萱野さんがまとめた民話『アイヌとキツネ』を私たちが翻訳して出版した。それ以来、私たちはアイヌ民族の物語の本を数冊翻訳して出版している。ウエペケレプロジェクトのメンバーたちは、全員ボランティアだ。公的な資金で印刷された本は、日本全国と世界中の学校と図書館に寄贈されている。

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