1. ホーム
  2. 記事全訳
  3. 2019.10.18

Farewell to the Merlionマーライオンとの別れ

このページを印刷する

マーライオンのことを聞いたことがあるかもしれない。ライオンの頭と魚の体を持つ神話上の生き物で、シンガポールの象徴として広く認識されている。

1964年にイギリスの動物学者によってデザインされたこのマーライオンは、シンガポール政府観光局のロゴとしてスタートした。ライオンの部分は、私たちの島を、ここでライオンを見たことにちなんで、サンスクリット語で「ライオンの都市」という意味の「シンガプラ」と名付けたと主張するシュリーヴィジャヤ王国の王子サング・ニラ・ウタマと関連がある。魚はおそらく、シンガポールが漁村として始まったこととの関連だ。

しかし、歴史上の記録では、シンガポールは活気のない村とはかけ離れていて、14世紀の頃から反映した港町だったことが示されている。ライオンを目撃したという話も架空の物語に起源を持つ。というのも、ライオンはこの地域では野生で生息していたことがない。

観光客は気にしていないようだ:マーライオンと写真を撮ることはほとんど義務に等しい土産である。だが、多くのシンガポール人にとっては、マーライオンはむしろマーケティング上の仕掛けのように見えるかもしれない。

だから私は、リゾート地・セントーサ島にあるマーライオン像が今年末に取り壊されると知ったとき、自分の喪失感に驚いた。セントーサ島と隣接する島を「特別なレジャーと観光の目的地」に形成し直すための計画が作られている。マーライオンは、テーマを設けた大通りに道を譲るために取り壊される。

シンガポールにある7体のマーライオン像のうち、セントーサ島のマーライオンは最大で高さ37メートルある。これと比較して、マーライオン・パークの像は8.6メートル、その後ろに立っている「赤ちゃんマーライオン」はわずか2メートルだ。

子どもの頃、セントーサ島は今ほどわくわくするところではなかったが、家族とセントーサ島のマーライオンを訪れた楽しい記憶がある。ユニバーサル・スタジオ・シンガポールは建っていなかったし、セントーサ島と本島をつなぐモノレールさえなかった。私たちはフェリーに乗り、多くのシンガポール人にとって、それが初めてフェリーに乗る体験だった。象徴的なフェリー降り場は、私たちの集団で共有される記憶の貴重な一部になっているが、2007年にそれも取り壊された。

建物や像が消えるとき、私たちは物理的な構造物そのものよりも多くのものを失っている。具体的な肖像がなければ、私たちの記憶―集団で共有される記憶と個々の記憶の両方―はしっかりととどめておくものを失い、時間を経るにつれて、重要さも薄れるように思える。

小さな国のシンガポールには、このような感情のための場所を持つような余裕はなく、絶え間ない取り壊しが継続的な刷新と復活の鍵だと主張する人もいる。私はまだそれには納得していない。構造物を保存して、それらをよみがえらせる方法は確かに見つけられる。それは取り壊しほどは簡単ではないかもしれないが、やる価値のあることに、たやすいものなど、いずれにしてもほとんどないはずだ。重要な問いはこれだ:それはその努力に値するか?

英文記事を見る

全訳トップへ戻る

広告の掲載について 詳しくはこちら

定期購読申込み定期購読申込み無料試読申込み無料試読申込み

Alpha Online ログイン

初回ログインの手順はこちらをご確認ください。

ID(メールアドレス)・PWをお持ちの方
※Fujisanマガジンサービスでご契約の方もこちらから

メールアドレス
パスワード

パスワードをお忘れですか?

Alpha Passコードをお持ちの方
※新聞販売店等でご購読・ご購入の方はこちらから

※初回ご利用の際には、Fujisanマガジンサービスにて、メルマガ会員へのご登録が必要です。

Alpha Passコード

メールアドレス・パスワードの入力も必要です。

メルマガ会員へのご登録
※新聞を購読していなくても登録できます

メルマガ会員になると、毎週の見どころを紹介するメルマガが届くほか、Alpha Onlineの英文記事を月5本までお読みいただけます。

メルマガ会員登録

※Fujisanマガジンサービスの提携サイトにてご登録となります

閉じる

定期購読申込み無料試読申込み

定期購読申込み無料試読申込み