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  3. 2019.11.1

Bookish autumn読書の秋

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短いのだが、北海道で私が大好きな季節は秋だ。そして、私が大好きな日本語の秋を表す表現は「読書の秋」だ。これは「秋、つまり本を読む季節」と翻訳できる。しかし、「bookish autumn(本の秋)」という翻訳の方が好きだ。音が心地よく、紙とインクの匂い、そして、柔らかな照明と座り心地の良い肘掛け椅子のある読書室の中で木が燃えている暖炉を思い起こさせる。

日本の秋の形に表れた美しさはよく知られているが、その多くを楽しむには外にいなければならない。紅葉やコオロギの鳴き声を楽しむ田舎への気軽な旅を妨げる障害がある人もいる。しかし、良質な本は、どんな人をも、どこへでもいつでも連れて行くことができる。

私は幼かったとき、母がギリシャ神話やクリスティーナ・ロゼッティやエミリー・ディキンソンなどの子ども向けの詩の定番を読んでくれた。すぐに、私は自分ひとりでむさぼるように読むようになっていた。札幌のインターナショナルスクールに通っていた頃、私たちの明らかに小さな図書館にある本を文字通り全て借りた。ノートン・ジャスターの『The Phantom Toll Booth(邦訳:マイロのふしぎな冒険)』は、言葉での遊び方を教えてくれた。Jean Dulieuによる『Paulus and the Acornmen』の風変わりなアートが大好きになった。C.S.ルイスの『ナルニア国物語』のシリーズは文章の意味の重なりを認識することを教えてくれた。

10代半ばになる頃には、私の好奇心はノンフィクションへと移っていた。ずっと広くなった高校の図書館の通路をうろうろして、帝国や制度、イデオロギーの盛衰について学んだ。

それから、大学に通っていた頃は、私にとても深い影響を与えた小説を読み、職業として翻訳の道に進むことに決めた。その本のタイトルは『ひつじが丘』。北海道を拠点にしていた小説家・三浦綾子さんによって書かれたものだ。

『ひつじが丘』は、私が日本語原文で読んだ初めての長編小説だった。三浦さんのデビュー作『氷点』は、1964年に日本で大ヒットし、三浦さんはこの作品で朝日新聞から1000万円の名誉ある賞を獲得した。当時、三浦さんはそれまでに小説を書いたことがなかった40代の病弱な主婦で、同じ賞を争う候補には、著名作家や経験豊富な作家がたくさんいた。その後、三浦さんは、ベストセラー小説をさらにたくさん書いた。そのうちの幾つかは、日本と韓国で、長編の映画やテレビドラマにも作り直された。

私は大学のとき、三浦さんと連絡を取り合うようになり、1999年に三浦さんが亡くなる前、光栄なことに三浦さんの家にも何度か招かれた。三浦さんの本を英語で読みたければ、私が翻訳した彼女の1981年の作品『海嶺( Hidden Ranges)』を https://miuraayakoreadersclub.blogspot.com/ で見つけることができる。

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