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  3. 2021.1.29

An ode to a humble dish地味な料理をたたえて

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彼は午後7時に寝て、午前2時までには起きる。職場へ向かう。家に帰るころには、もう午後5時になっている。

週に5日間、これが私の好きな屋台の店主の日常だ。彼はシンガポールで「チャー・クイティオ」を売っている。この料理の「チャー」は福建語で「強火で素早く炒める」、「クイ・ティオ」は米でできた平麺を指している。他の材料は、同様に質素―もやし、卵、魚肉団子、揚げたラードの欠片とラプチョン(中国のソーセージのようなもの)だが、中華鍋で強火で炒め、濃い醤油で味付けされると、全ての要素が魔法のように合わさって、シンガポールとマレーシアで最も人気の料理の1つになっている。

シンガポールの屋台文化が12月に正式にユネスコの無形文化遺産の地位を与えられたとき、最初に思い浮かんだ料理が「チャー・クイティオ」だった。これは、私が日本に住んでいたときに一番食べたくなったシンガポール料理でもあった。

チキンライスやラクサとは違って、この料理は自宅のキッチンでは再現が不可能だ。「ウォック・ヘイ」は、広東語で高温に熱した中華鍋で炒めることで出てくる複雑な焦げた香りのことを指す語で、これは小さなガスコンロにかけたフライパンでは実現することができない。

シンガポールで最も人気の「チャー・クイティオ」の屋台には、最大2時間待ちの長蛇の列ができることがある。前述の屋台には、最初の客はだいたい午前6時に屋台が開店した直後に到着している。

その頃までに、屋台の店主は全ての材料をそろえるため、すでに3時間ほど仕事をしている。注文を受けてから一人前を炒め、他の屋台の店主と同じように、彼は、チリ多め、チリなし、貝多め、貝なしでお願いといった、特定の要望に対応する。

何時間も彼は、4畳ほどの広さの小さなキッチンの非常に熱いコンロの前に立つ。彼の妻が注文と支払いに対応する。この大変な仕事にも関わらず、彼はチャー・クイティオを1皿4シンガポールドル(約320円)で売っている。この値段は、シンガポールのホーカーセンターで他の地元の料理と同じくらいで、1皿に込められた多大な努力を隠している。

比較的少ない利益に対して長時間に及ぶ骨の折れる仕事とあり、若い人たちは屋台の仕事を学ぶ意欲をそがれている。ユネスコの認定は正しい方向への一歩ではあるが、屋台文化を維持していきたいならやるべきことがまだたくさん残っている。私は、政府が屋台店主への家賃を値下げすることと、屋台の人が少し値上げしても客が文句を言わずに高くなった値段を支払うことを望む。結局、私たちは高価な外国の珍しい食材や料理には喜んで大金を使っている。大好きな地元の食べ物が食べられる場所にもお金を渡すべきだと思う。

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