「まだトウモロコシがないのは分かっているけど、行くのが好きなの。夏の感じがするから」と妻は言って、町でお気に入りの夏の場所へ向かうために出掛けた。
7月1日は私たちの国の祝日であるカナダの日だが、妻にとっては7月2日も同じくらい大ごとだ。その日は「Thee Corn Stand」がオープンする。
Thee Corn Standはよくある農産物の直売所ではない。その名前は、よくできたマーケティング面でのシャレと定冠詞の使い方のレッスンの両方になっている。すべては「Thee」にかかっている。
「The Corn Stand」と呼ばれる野菜の直売スタンドなら、特徴のないどこかの季節野菜の直売スタンドになるかもしれないが、「Thee Corn Stand」は私の地元のユニークで特別な場所で、いつも最高の地場産の夏の果物と野菜がある―つづりはやや怪しげではあるが。
カナダでは夏が短く、私たちはアメリカ南部やカリフォルニア、南米、アフリカからの輸入の果物と野菜に大いに頼っている。2月にカリフォルニアやモロッコ、チリ産の新鮮ないちごやオレンジ、さくらんぼを買うことができるのは素晴らしいものの、育ったのが家の近くであればあるほど新鮮で味も良い。2月にゴルフボールくらいの大きさのカリフォルニア産のいちごが世界中で入手できることは素晴らしいが、とても早くに収穫されるため発泡スチロールの一種のような味がする。6月半ばに地元で取れる作物を待って、いちごの味がするいちごをたらふく食べる方がずっと幸せだ。
農産物の直売所は、特にThee Corn Standのように小規模経営のところは、新鮮さが全てだ。こういった場所で買うものは何でも、当日の早朝ではないにしても、おそらく前日に収穫されている。地元のアスパラガスや桃、さくらんぼ、秋にはたくさんの種類の地元のりんごに勝るものはない。
ここオンタリオ州南部では、7月中旬から9月中旬までの10週間しかシーズンが続かないが、人々はスイートコーンに夢中になる。私の家族はおそらくこの時期に、1年の他の時期に食べる以上の量のコーンを食べる―加工食品に含まれるコーンシロップとコーンフラワーの全てを含めても。
あちこちで軸付きのまま調理したトウモロコシを食べたことがあるが、地元のコーンよりも甘いものはない―オンタリオ州北部の地元のコーンを除けば。北部では旬がさらに短い。
地元のスイートコーンのよだれの出そうな味は、ほぼその新鮮さによるものだと私は思う。今朝収穫されたばかりで午後に12本で5ドル―約440円―で売られ、今夜食べるトウモロコシはいつだって1週間前に収穫されたものよりも味が良い。その1週間前のトウモロコシは皿の上に乗る前におそらく、卸売市場から食料品店まではるばる移動してきたものだろう。
新鮮なトウモロコシはもっと夏の味がする。