ビジネス英語を学んでいるとき、私の生徒のなかには、使えるフレーズを話し合いに当てはめさえすれば魔法のように望む結果が得られると思っている人もいる。言語がそんなふうに機能するならいいのだが。私はよく、一連の交渉のフレーズを使う前に、まずは交渉をしている人々と良好な関係を築く必要があるということを生徒たちに思い出させなければならない。もし良い関係を築くことがまだできていなければ、相手はあなたからの提案を受け入れられるほど十分にあなたを信頼できないと感じるかもしれない。
仕事の人間関係を築くことについて、生徒たちの1グループと一緒に取り組んできた。私たちはその単元を、人々についてあれこれ推測することに関して話すところから始めた。誰もが憶測をするものなので、用心しなければならないのは、推測が誰かと知り合いになることの妨げにならないようにすることだ。
ある日、私は男性の生徒2人に、お互いに別の質問を切り出すときの最初の表現(スターター)を使って、いくつかの質問をし合うように頼んだ。質問のスターターの1つは、「あなたはいつも…しますか?」だった。1人の生徒は、「あなたは悲しい映画やテレビ番組を見たときはいつも泣きますか?」と尋ねた。私がこれまでに教えたり、一緒に仕事をしたり、成長期を一緒に過ごしたりした男性のほどんどは、自分の感情について話すことを好まないので、私の推測は、この会話は短いものになるだろうというものだった。しかしそうはならずに、この後に続いたのは、人の精神面の健康にとっての泣くことの重要性に関するかなり深い話だった。彼らは泣きたい気分のときに見るとよい映画のお薦めを教え合ってさえいた。もし彼らが日本語でこの会話をしていたとしても私は非常に感動したと思うが、彼らがこれを英語で行なっているという事実がまたものすごく感動的だった。
私はやや胸がいっぱいだったので、カメラをオフにしてただ聞いているだけだったのは好都合だった。もし私たちがこの授業を直接会って行なっていて、もし不適切ではない状況だったなら、たぶん、みんなでハグしようと求めていただろう。そうする代わりに、私は気持ちを落ち着けて、カメラを再びオンにした。私は、思い切り泣きたいが、映画をまるごと見るために使う時間がないときにフォローするといいインタグラムのアカウントをお薦めした。私が好きなアカウント—グッド・ニュース・ムーブメント—は、素晴らしい人たちの心温まる事例に溢れていることが多い。私は投稿を1つだけ読んだ後で涙が頬をつたっているのに気づくことがある。
この2人の生徒たちが、私の推測が実際は全く誤っていたと証明してくれたことを私はとてもありがたく思う。そのシンプルな1つの質問と彼らの正直な答えから、私たちはお互いについてとても多くを知った。感情を表現することだけではなく、それについて話すことの重要性を信じている彼らのような男性がもっとたくさんいることを私は望んでいる。夫として、父親として、願わくは、将来の管理職として、この2人は、人間らしさを大切にする社会や職場を創っていく希望を私に与えてくれた。