ミャンマーの軍部は2月1日にクーデターを起こし、ノーベル賞受賞者のアウン・サン・スー・チー氏を含む上級政治家らを拘束した。この東南アジアの国(ミャンマーのこと)が軍事政権による50年の支配の後に遂げてきた、不安定であっても重大な民主化に向けた進歩にとって大きな後退となる。
軍部が所有するテレビ局のミャワディTVで読み上げられた発表は、ミン・アウン・フライン国軍司令官が1年間この国を仕切ることを明らかにした。この発表は、11月の選挙における不正について軍部の要求に従って政府が行動しなかったため、また、新型コロナウイルスのパンデミックにも関わらず、政府が選挙の実施を許可したため、今回の権力の掌握は必要なものだったとした。11月の選挙では、争われた議席の過半数をスー・チー氏の与党が勝ち取った。
今回の権力の掌握は、新しい議会が開会される予定だった朝に発生し、その前から数日に渡って、クーデターが来ると懸念されていた。軍部は、国家の緊急事態時には軍部が権力を掌握できるとされる、軍部が起草した憲法の条文を引き合いに出して、軍部の行動は法的に正当であると主張しているが、スー・チー氏の政党の報道官や世界各地の多くの専門家らはクーデターに当たると述べている。
厳しい軍事政権支配と世界での孤立の数十年間から立ち上がってきたミャンマーにとって、それは著しい後退だった。自分の国(ミャンマーのこと)を民主化に向けて進めていこうとする中で何年も自宅軟禁状態で生活し、2015年に事実上の指導者となったスー・チー氏(75)にとっても衝撃的な権力の座からの転落だった。