タンザニア生まれの小説家アブドゥルラザク・グルナ氏は10月7日、植民地主義の影響と、難民の経験による心の傷をひるまずに描写したことで、ノーベル文学賞を受賞した。
グルナ氏(72)は、現在はタンザニアの一部となっているザンジバル島で育ったが、革命(ザンジバル革命のこと)から逃れるため、1960年代後半に難民としてイギリスにやってきた。彼はノーベル文学賞を受賞した5番目のアフリカ出身の人だ。
スウェーデン・アカデミーは、グルナ氏が「植民地主義の影響と、文化と大陸のはざまにいる難民の運命に対する彼の妥協のない、かつ思いやりに満ちた洞察力」でたたえられたと述べた。
「私は完全に圧倒されています。光栄です。全く予想していませんでした」と、グルナ氏は報道陣に語った。彼はこれより前に、スウェーデン・アカデミーから電話をもらってびっくりして、「いたずらだと思いました」とノーベル賞ウェブサイトに語った。
難民であることと、移民の差し迫る問題について彼はこう述べた:「私は、私が生きている世界で、起きていることについて書いてきました。そして今、私が生きているこの世界はこの問題を、この不安を、覆い隠しています。これは私たちの時代の物語といえるでしょう」。
グルナ氏の母語はスワヒリ語だが、彼は英語で書いている。彼の出版された10作品の小説には、『Memory of Departure(出発の記憶)』、『Pilgrims Way(放浪者の道)』、『Paradise(楽園)』などがある。