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第7回 スマートに情報を補足する「同格」

第7回のメインテーマは、「スマートに情報を補足する同格」です。(記事の後半で詳述します)
今回取り上げるのは、2018年12/14号の一面記事「‘Sodane’: Top 2018 buzzword strikes positive year-end tone(流行語大賞に「そだねー」)」の下から第2段落目です。

 

先に日⇒英で意味理解

私のリーディング指導では、先に和訳を読んで意味を理解することによって、英文を読む負担を減らす方法を取り入れています。このコーナーでも、その方法に従って、まずは取り上げる英文の和訳を読むところから始めます。

1.和訳を読む

選考委員で東京大学の政治学教授の姜尚中(カン サンジュン)氏は、今年の流行語―平成最後の―は、爽快感を呼び起こし、前年の言葉とは全く対照的だと語った。

 

2.次に英文を読む

Kang Sang-jung, committee member and political science professor at the University of Tokyo, said this year’s buzzwords — the last in the Heisei Era — evoke feelings of exhilaration, in stark contrast to terms from previous years.

 

スラッシュリーディングで英語の順番通りに意味を捉える

今度は、スラッシュ単位のカタマリごとに、英語の意味を確認していきます。

Kang Sang-jung,  姜尚中(カン サンジュン)氏は
committee member and political science professor at the University of Tokyo, 選考委員で東京大学の政治学教授の
said 語った
this year’s buzzwords 今年の流行語は
— the last in the Heisei Era — 平成最後であるが
evoke feelings of exhilaration,  爽快感を呼び起こすと
in stark contrast to terms from previous years. 前年の言葉とは全く対照的に

 

文型と品詞を捉える

英文を正確に理解するためには、「主語」 (S=Subject)、「動詞」 (V=Verb)、「目的語」 (O=Object)、「補語」(C=Complement)のような要素から成る文型を意識して、骨組みを捉えながら読むことが大切です。
また、骨組みの飾りとなる、形容詞や副詞のような「修飾語句」(M=Modifier)が何にかかるかを正確に理解することも重要です。

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo, said (V) (that) this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Eraevoke (V) feelings of exhilaration (O) in stark contrast to terms from previous years.


グレー
=名詞(名詞句/名詞節も含む) 、下線=形容詞(形容詞句/形容詞節も含む) 、
黄色=接続詞、< >=副詞(副詞句/副詞節も含む)

 

主語と動詞、文型を把握する

まずは、文の骨格である、「主語」(S)と「動詞」(V)をしっかり認識しましょう。このセンテンスの主語はKang Sang-jungで、動詞はsaidです。大まかに、Kang Sang-jung (S) said (V)「姜尚中(カン サンジュン)氏は語った」となりますが、SVの第1文型ではありません。

後半には、省略されている接続詞のthatを挟んで、目的語として語った内容が来ますので、全体的には、SVOの第3文型になっていると考えます。大きく、以下のように捉えると分かり易いでしょう。

Kang Sang-jung (S) said (V) that SV(O)
「 姜尚中(カン サンジュン)氏は、SVだと語った」


that SV
の部分はsaidの目的語になるため、「名詞節」として機能しています。「SVであることを」のように、より名詞っぽく訳せなくもないですが、普通は「SVだと/SVであると」のように訳します。

 (that) this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Eraevoke (V) feelings of exhilaration (O), in stark contrast to terms from previous years.


後半のthat節の中の文型を見ていくと、this year’s buzzwordsが主語で、evokeが動詞、feelings of exhilarationが目的語となっています。大まかに、this year’s buzzwords(S) evoke (V) feelings of exhilaration (O) 「今年の流行語は、爽快感を呼び起こす」と、SVOの第3文型になっています。

 

複文の捉え方2パターン

1つの文の中に、節=SVが2つ以上ある文のことを「複文」と呼びます。今回の例文も複文になっていますが、以下の2通りの捉え方ができます。

パターン1
前半と後半をthatという接続詞を挟んで、主節と従属節に分けて考える

Kang Sang-jung (S) said (V)  (主節)
 (that) this year’s buzzwords (S) evoke (V) feelings of exhilaration (O) (従属節=名詞節)

姜尚中(カン サンジュン)氏は語った
今年の流行語は、爽快感を呼び起こすと


パターン2
that以降の名詞節を大きな目的語だと捉えて、全体をSV+O (名詞節)と考える

Kang Sang-jung (S) said (V) / that this year’s buzzwords  evoke feelings of exhilaration (O) 
姜尚中(カン サンジュン)氏は語った/今年の流行語は、爽快感を呼び起こすと

 

スマートに情報を補足する「同格」

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo, said (V) (that) this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Eraevoke (V) feelings of exhilaration (O) in stark contrast to terms from previous years.


今回の記事のメインテーマ「スマートに情報を補足する同格」について詳述していきます。
committee member and political science professor at the University of Tokyo,「選考委員で東京大学の政治学教授の」という名詞句は、主語のKang Sang-jung,を形容詞的に後ろから修飾し、情報を補足しています。このように、名詞(または相当語句)の後に名詞(または相当語句)をポンと置いて、具体的に説明したり、言い換えたりすることを「同格」と呼びます。(他にも様々な「同格」がありますが、ここでは割愛)

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo,
選考委員で東京大学の政治学教授の姜尚中(カン サンジュン)氏


同格が起こるのは、主に固有名詞(人名や社名、地名、商品名など)を具体的に説明するために、情報を補足する名詞を並べるときです。

同格で並べる名詞は「イコール関係」にあるというのも重要なポイントです。
Kang Sang-jung=committee member and political science professor at the University of Tokyo

例文のように、主語の後に同格が起こることが一番多いですが、固有名詞は、目的語や補語の位置にも来ますので、必ずしも主語の後とは限りません。

 

「同格」の名詞の冠詞の有無について

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo,


この例では、committee memberの前に冠詞(a、the)が付いていないことに気付いた方もいるかと思います。

概して、「役職や身分を表す名詞には、冠詞を付けない」というルールがあります。特に、本来、theを付けるべきときには省略されます。

例えば、Donald Trump, president of the United Statesや、Kenji, captain of the basketball teamのような場合です。これらの同格の名詞には、定冠詞のtheが省略されているのですが、なぜtheなのでしょうか?

それは、世界に一人しかいないからです。

以下のように、SVCのセンテンスに書き換えた場合には、省略されたtheを明記することもありますが、同格の場合には、ほぼ100%省略されます。

Donald Trump is (the) president of the United States.
Kenji is (the) captain of the basketball team.

さて、こちらの同格で省略されている冠詞は何だと思いますか?

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo,


SVCのセンテンスに言い換えると、不定冠詞のaが省略されていることが分かります。

Kang Sang-jung is a committee member and political science professor at the University of Tokyo.


committee memberは複数いるはずで、一人だけではないからです。
a committee member = one of the committee membersと考えます。

political science professorも2人以上いる可能性が高いので、aが省略されていると想定されますが、committee memberの前のaが、political science professorにも付いていると考えます。

本来、aを付けるべきときには、同格でも省略しないことが多いので、aを入れてもOKです。

OK
Kang Sang-jung (S)
,  a committee member and political science professor at the University of Tokyo,


実際、以下のような場合には、不定冠詞のaやanは省略しないのが一般的なので、今回のように省略されている例は珍しいとも言えます。

Stephen Curry, an employee at ABC Company「ABC社の従業員であるStephen Curry」
Stephen Curry, employee at ABC Company

 

ダッシュを使う「同格」もある

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo, said (V) (that) this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Eraevoke (V) feelings of exhilaration (O) in stark contrast to terms from previous years.

 

that以降の後半部分を見ると、this year’s buzzwordsの後に、— the last in the Heisei Era —と、ダッシュ(—)で挟まれた形容詞句がありますが、これも「同格」になります。

前半部分の(, committee member and political science professor at the University of Tokyo,)のように、同格では、カンマ(,)が使われることが最も一般的ですが、後半部分のように、ダッシュ(—)が使われる場合もあります。

this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Era

平成最後の今年の流行語は


このように形容詞的に後置修飾していると考えることもできますが、ダッシュ(—)が使われている場合は、挿入して補足した感じがより強くなるため、後から情報を付け加えたような訳し方をすることもできます。

this year’s buzzwords — the last in the Heisei Era —
今年の流行語は、平成最後であるが

 

「同格」を使わないと、どうなるかを検証

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo, said (V) (that) this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Eraevoke (V) feelings of exhilaration (O) in stark contrast to terms from previous years.


このセンテンスには、形容詞として直前の名詞を後置修飾している「同格」が2箇所ありますが、別の文法を使って表現したらどうなるか見ていきたいと思います。

前半部分では、committee memberの前にwho isと省略された不定冠詞aを持ってきて、以下のように関係詞節で表現することもできます。

Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo
Kang Sang-jung (S)who is a committee member and political science professor at the University of Tokyo,


また、後半部分では、— the last in the Heisei Era —のダッシュ(—)の代わりに、カンマ(,)とwhich areを使って、以下のように関係詞節で言い換えることもできます。

this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Era
=this year’s buzzwords (S), which are the last in the Heisei Era,

 

ネイティブのプロのライターは、このように関係詞節を使って表現することは極力避け、代わりに「同格」を用いることを好みますが、それはなぜでしょうか?

その方がカッコイイからです(笑)

最後に、どれだけ同格の方がカッコイイか、見比べてみたいと思います。

カッコ悪い
Kang Sang-jung (S),  who is a committee member and political science professor at the University of Tokyosaid (V) (that) this year’s buzzwords (S), which are the last in the Heisei Era, evoke (V) feelings of exhilaration (O) in stark contrast to terms from previous years.

カッコイイ
Kang Sang-jung (S), committee member and political science professor at the University of Tokyo, said (V) (that) this year’s buzzwords (S)the last in the Heisei Eraevoke (V) feelings of exhilaration (O) in stark contrast to terms from previous years.


前者は、余計な関係詞とbe動詞を使っているため、冗長で稚拙な文体になっています。
一方、同格を使った後者は、断然シャープで洗練された印象になることが分かると思います。

 

「和訳英文戻し」にチャレンジ

私のリーディング指導では、最終的には、「和訳英文戻し」(スラッシュごとに和訳から元の英語が言う)ができるようにすることで、読解力を養成しながら同時に発信力も鍛えることを目指しています。このコーナーの読者の皆さんも、ぜひ「和訳英文戻し」にもチャレンジしてみてください。そうすることで、より文の構造や意味も掴み易くなるはずです。

姜尚中(カン サンジュン)氏は Kang Sang-jung,
選考委員で東京大学の政治学教授の  committee member and political science professor at the University of Tokyo,
語った said
今年の流行語は this year’s buzzwords
平成最後であるが  — the last in the Heisei Era — 
爽快感を呼び起こすと   evoke feelings of exhilaration,
前年の言葉とは全く対照的に in stark contrast to terms from previous years.

 

英文読解の基礎
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