今週の1面は、日本のプロ野球とサッカーJリーグが、7月から観客を受け入れるというニュースです。
ここではallowという動詞に注目。動詞の文中で使い方に精通すると、文の構造を捉える力が大きくアップしますよ。allowは、〈allow A to do〉の形で「Aが~するのを許す、可能にする」という意味を表します。ここではallow spectatorsなので、Aに当たるのはspectators(観客)。つまり「観客が~するのを可能にする」。英語の読解に慣れた人なら、ここまで見た瞬間に、この後にはto do(具体的に何を許すのか)が出てくると予測して次を読みますよ。ここではto attend gamesですから「試合を観戦しに行く」。つまり「観客が試合を観戦することを許す(=お客さんを入れて試合を開催する)」ということです。全体としては「日本のプロ野球とサッカーJリーグは7月10日から、観客を入れて試合を開催すると、日本プロ野球機構の斉藤惇コミッショナーとJリーグの村井満チェアマンが6月22日に述べた」という意味です。
ここでのポイントはbehind closed doorsという表現。直訳すると「閉じられたドアの裏で」ですが、これは「密室で」、またはスポーツの文脈で使われると「無観客で」という意味を表すイディオムです。この機会に覚えておきましょう。全体は「2020年のプロ野球シーズンは、コロナウイルスの感染拡大で約3ヵ月遅れた後に、6月19日に無観客の状態で開幕した。J1リーグは延期されていた(postponed)シーズンが7月4日に再開する(resume)予定だ」ということ。
take ~ into considerationは「~を考慮する」という意味。これは丸暗記する必要は無いですよ。takeのイメージは「どこかに持っていく」。「何かをconsideration(思考、考えること)の中に持っていく」ということから、それを考慮するという意味になるわけです。considerationの代わりにaccount(考慮)という語を使うこともありますよ。
もう1つ注意して欲しいのは、I got wordのところ。wordは「言葉」意外にも「約束、保証」という意味があります。I got word from ~は「~から(・・・してくれるという)確約を得た」ということ。他にも以下のような使い方をしますよ。
◆ You have my word on it.
(それについて私が保証するよ)
◆ He is a man of his word.
(彼は約束を守る男だ)
以上を知っていれば、意味が取れたのではいでしょうか。「『状況を考慮しなければならないが、7月10日から観客の受け入れを開始すると発表してもよいということを政府から保証してもらった』と斉藤氏は、新型コロナウイルスへの対応を話し合う運営組織(governing bodies)の10回目の連絡会議(liaison meeting)の後で述べた」ということです。
ここでは、allowの使い方をもう1つ学びましょう。先に出てきた〈allow A to do〉ほど頻度は高くないものの、allowはallow for ~の形で「~を認める、許す、可能にする」という意味で用いることがあります。ここでは、「政府の現在のガイドラインは、7月10日からスポーツイベントの観客数を徐々に(gradual)増やすことを認めている」ということ。
続けてstartingで始まる後半部分を見ていきましょう。このように、完成した文の後に続くing形は、前の文に情報を付け加える働きがありましたね(第2回で初めて扱いました)。
◆ He won the election, becoming the 15th mayor of the city.
(彼は選挙で勝って、その市の第15代市長になった)
意味を解釈する際は、このingの前にandを補って考えましょう。ここでは前の文を受けて、「そして始める」という意味を表しています。また、startの後のwithにも注目。Let’s start with beer.(まずはビールから飲み始めよう)や、I can’t remember his name. It surely starts with “J.”(彼の名前が思い出せない。確かJで始まるんだよ)のように、start with ~で「~で始まる、始める」という意味を表します。つまり、「観客の数を増やしてよい」という前の文の内容を受けて、「最大5000人か、または会場のキャパシティーの50%という規模で始める」と、無観客状態から移行する際の基準について述べられていたわけです。
その次のwhicheverは難しいですね。これは「そのどちらでも」という意味の表現。「(前述の2つの基準を指して)そのどちらでも人数が少ない方」ということです。
「地元自治体と相談する必要があるが、少しずつ差が出る可能性がある」という斉藤コミッショナーの発言が紹介されています。その後のcapという語に注目。この語を見て、何を思い浮かべますか? 「ボトルのキャップ」や「帽子」が頭に浮かんだ人も多いことでしょう。capはこれ以外にも「上限」という意味もありますよ。すべてに共通するものが見えますか?
capの語源は「頭」。captain(キャプテン)なども同じ語源を持つ仲間です。capの代表的な3つの意味は、すべて「頭にかぶせる」のようなイメージがあるのが見て取れると思います。「上限」の意味ではcap on ~(~の上限)という形で使われることが多いので、覚えておきましょう。ここでは、「観客数の上限について斉藤氏は述べた」という意味です。
最後のパラグラフでは、NPBが選手、監督、コーチ、審判らに月に1回検査を実施し、コスト削減のため、まとめた検査(batch testing)をすることが検討されている、という内容が書かれています。