今週の1面は、ニュージーランドの総選挙で、アーダーン首相の与党が圧勝したというニュースです。
vowedは「誓った」という意味。その先がやや難しいですが、crack on with ~で「~を推し進める」という意味を表します。続くdeliverは「配達する」という意味に加えて、deliver a speech(演説をする)、deliver a blow to ~(~に一撃を加える)、deliver one’s promise(約束を果たす、公約を実現する)など幅広い意味で使われる語です。ここではvisionを後ろにつなげて「みずからのビジョンを実現させる」ということ。その後のlandslide election victoryは「選挙での圧勝」。landslideは、文字通りには「地滑り」ですが、日本語でも「地滑り的勝利」と言うように、特に選挙で圧勝することに対して使われる語です。前半は「ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は10月18日、選挙での圧勝の後、彼女のビジョンの実現を『推し進める』ことを誓った」という意味でした。
続けて、after以降の後半を見ていきましょう。stringは「ひも」という意味ですが、「ひもでつながれた」というイメージから、a string of ~で「一連の~、相次ぐ~(=a series of ~)」という意味を表します。
◆ She asked me a string of questions about our relationship.
(彼女は僕たち関係について相次ぐ質問をしてきた)
本文ではa string of disasters(相次ぐ災難)という形で使われています。具体的にどんな「災難」かは、本文の最後に出てきますよ。
ここで、最後のtermについても触れておきます。termは「期間、任期」「(契約の)条項」「用語、言葉」など、様々な意味を持つ多義語。こうした語は意味を1つ1つ丸暗記するよりも、すべての意味に共通するイメージを捉えることが大切です。termのイメージはこちらの図のように捉えておきましょう。
このように、termは「(ここからここまでという)境界」を表すのが基本イメージです。「期間」は時間的に「ここからここまで」だし、「(契約の)条項」も、契約上やっていいのは「ここまで」という具合に「境界」のニュアンスが生きているのが見て取れると思います。「用語、言葉」は、ややイメージしづらいかもしれませんが、例えば「犬」という言葉で言えるのはここまで(これを超えると「オオカミ」になってしまう)や、「黒」という言葉で呼べる色はここまで(これ以上色が薄くなると「灰色」の範囲に入ってしまう)のように、言葉や定義は「ここまで」という境界と結びつきが強いもの。だからtermには「用語、言葉」という意味があるのです。
また、「ここが境界。これ以上先はないよ」というニュアンスから形容詞形のterminalは、terminal station(終点の駅)、terminal cancer(末期がん)のように使われます。
というわけで、後半部分は「一連の災難が改革を妨げた(frustrated)初の任期の後で」という意味でした。