すっかり年の瀬になりましたね。今週の1面は木星と土星が最接近したという話題です。
まずはこのパラグラフの読解ポイントとして、動詞treatの用法に注目しましょう。treatは、treat him badly(彼をひどく扱う)のように「~を扱う」という意味はご存じかと思いますが、これ以外にも「~におごる、ごちそうする」という意味でも使われますよ。特に〈treat+人+to ~〉で「人に~をおごる、ごちそうする」という意味になります。
◆ I’ll treat you to a drink.
(君に一杯おごろう)〔I’ll buy you a drink. でも同じ意味〕
ここでは、これを応用して考えましょう。「北半球(Northern Hemisphere)にかかった夜空は12月21日、天文ファン(stargazers)に一生に一度の幻想的なショーをごちそうした」ということ。つまり「一生に一度の幻想的なショーで天文ファンを楽しませた」という意味で使われています。stargazerを知らなくても、gaze(見つめる)が頭の中にあれば「星を見つめる人=天文ファン」という具合に意味を推測できたと思います。また、once in a life timeは文字通り「人生で一度」ということ。これをonce-in-a-lifetimeとすると「人生で一度の」という名詞を修飾する形容詞になります。このように英語ではハイフンでつなぐことで、様々な表現を名詞を修飾する形容詞にすることができますよ。
◆ have a four-year-old child,
(うちには4歳の子どもがいる)
さて、後半は接続詞のasで始まっています。先週の第37回でもご説明した通り、〈時〉を表すasは、whenよりも「2つの出来事が同時に起きた」というニュアンスが強く、日本語で言うと「~する中で」のような意味で主に使われます。動詞のappearは「現れる」という意味が有名ですが、appear to do ~の形で使われると「~のようだ、~のように見える」という、seemと同じような意味を表します。よって後半は「太陽系(solar system)の2つの最大の惑星が出会うように見えた中で(天文ファンを楽しませた)」という意味です。 その後にin a celestial alignmentというハイレベルな語彙が使われています。celestialは「天空の」、alignmentは「一列に並ぶこと」。つまり「(2つの惑星が)天空で一列に並んで出会った」という状態を表しています。さて、なぜここでinを使うのか分かりますか? こうした前置詞の解釈に「何となく」は禁物ですよ。以下のような文をご存じですか?
◆ They stood in a line.
(彼らは一列に並んで立っていた)
in a line(一列になって)のような〈形状〉を表す際にはinが使われます。本文のalignmentも「一列に並ぶこと」という〈形状〉を表しているのでinを用いると考えておきましょう。ここではcelestial alignmentの後に関係代名詞thatが続いて説明を加えています。「天文学者たち(astronomers)が『グレート・コンジャンクション』と呼んでいる○○」という意味。conjunctionは、地球から見て惑星が非常に接近していることを意味する語です。