今週の1面は、3月11日に行なわれた東日本大震災の10周年の追悼式典の記事です。
冒頭Withで始まっています。withは「~と一緒に」というおなじみの意味から転じて「~が存在している」といったニュアンスでも使われます。ここではa moment of silence(黙祷)、prayers(祈り)、anti-nuclear protests(反原発デモ)という3つのものが続いています。こうしたものがある状態で、Japan on March 11 mourned(日本は3月11日、~を追悼した)というのが大枠の意味です。
ちなみに、ここで使われているWith ~と、後ろの文を自然な日本語でつなぐのは難しいですが、(いつも言っている通り)どう訳すかなんてことに頭を使ってはいけません。「しっくりくる日本語が見つからないと不安」という人は、無意識に「英文の理解=自然な日本語に訳すこと」だと考えてしまっています。ここでは「黙祷、祈り、反原発デモが存在している(=行なわれている)状態で、追悼式典があった」という情報が読み取れていれば十分。それにどんな日本語を当てはめるかは、理解とはまったく関係のない苦労です。このように「自然な日本語を探す」ということをやめれば、英文の理解はもっと楽になりますよ。
続くthe more than 18,000 victimsのところで、the more thanという形に違和感を持った人がいるかもしれませんが、これはOK。「1万8000人の犠牲者」ならthe 18,000 victimsですが、実際にはこれより数が多いので、18,000という数字の前にmore thanが付いているというだけです。全体は「黙とうと祈りと反原発の抗議活動がある中、日本は3月11日、10年前に見舞われた巨大(massive)地震と津波による1万8,000人以上の犠牲者を追悼した」という意味です。