今週は、松山英樹選手がマスターズ優勝を果たしたという記事を取り上げます。
「松山英樹は4月11日、ジョージア州オーガスタゴルフクラブでマスターズを制覇した」に続くto becomeに注目しましょう。過去に何度か扱っていますが、to do ~のいわゆる不定詞は、「(・・・して)その結果~」のように〈結果〉を表す用法がありますよ。この用法が使われる場面はある程度限られていて、特に多いのが「・・・して、その結果~を勝ち取った(本文のパターン)」、「・・・して、その結果~になった」というパターンです。
◆ He won the election to become the next governor.
(彼は選挙に勝って、次の知事になった)
◆ Tom grew up to be a fine young man.
(トムは育って、その結果素敵な若者になった⇒素敵な若者へと育った)
本文は「(マスターズを制覇して)その結果、男子メジャー大会で優勝した初の日本出身選手となった」という意味を表しています。
ここでは、claimという動詞にも注目。claimは語源的に、「大声で叫ぶ」というのが元の意味。そこから「~と主張する、言い張る」「(特に何かの所有権)を主張する」という意味で使われます。さらに「所有権を主張する」から「自分のものにする」というイメージが生じ、「(スポーツのタイトルなど)~を手に入れる」「(災害などが)~の命を手に入れる(=奪う)」という意味でも用いられると考えておきましょう。
◆ Pete claims he is innocent.
(ピートは、自分は無罪だと言い張っている)
◆ He claimed his first Wimbledon title last year.
(彼は昨年初めてウィンブルドンの優勝を手にした)
◆ The hurricane claimed more than 30 lives.
(そのハリケーンは30人以上の命を奪った)
本文では「男子メジャーのチャンピオンシップを手に入れた⇒優勝した」という意味を表しています。
また、他にもthe first player … to claimという構造に注目しておきましょう。これは第26回で扱いました。〈the first/second/last+名詞+to do ~〉で「~する最初の/2番目の/最後の名詞」という意味でしたね。
◆ He became the second Japanese pitcher to throw a no-hitter in Major League Baseball.
(彼は、メジャーリーグでノーヒットノーランを達成した2番目の日本人投手となった)
というわけで、この短い部分の中に、実に多くの重要ポイントがありました。