今週はトンガの火山噴火に関する記事を扱います。
まずvirtuallyという語は「事実上、実質的に」「コンピューター上で」という意味を表す副詞です。virtual reality(バーチャルリアリティー、仮想現実)という表現があるので、後者の意味が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、前者の意味で使うことも多いですよ。本文でも「世界の他の地域から事実上隔絶された」という意味で使われています。
crippleは「~に損害を与える」という意味の動詞で、特に機能を損なうぐらいのひどい損害を与える場合に使われます。英文記事では、the crippled Fukushima nuclear plant(機能不全に陥った福島の原子力発電所)のように、震災で事故を起こして機能が停止した福島第一原発を表現する際にも使われますよ。
◆ The economy has been crippled by inflation.
(経済がインフレによって大打撃を受けた)
ちなみに、crippleは「(人の身体機能を)損なわせる」という意味でも使われ、これを受身にしたcrippledは「身体が不自由な」という意味があります。しかしながら、この「身体が不自由な」を表すにはdisabledを使った方が良いでしょう。crippledという言い方は、障害を持つ方について敬意を欠く表現だと見なされることもあるので注意が必要です。
全体は「トンガは1月17日、この太平洋諸島の国との連絡手段を機能不全にした大規模な火山の噴火の後、世界の他の地域から事実上隔絶され、専門家たちはインターネット接続が完全に復旧する(be fully restored)のは数週間後になるかもしれないと警告した」という意味です。1文の中でTongaの繰り返しを避けるために、the Pacific Islands nation(この太平洋諸島の国)と言い換えられている点にも注目しておきましょう。