本紙読者の中には、大学入試を目標に日々学習を続けている高校生もいることだろう。ここでは、入試に向けてAlpha をどのように使って学習したらよいか、高校生にお薦めの活用法をご紹介しよう。
高校生読者の皆さんは、文法のルールを覚えたり、単語帳などを使って英単語の意味を暗記するなど、普段の学習の中でいろいろな知識を頭に入れる努力を続けていることだろう。もちろん知識を増やすこと自体は大切だ。ただ、残念ながらその結果として、ライティング力やリーディング力などのスキルが目に見えて向上したという実感があまり持てないという人も多いのではないだろうか。
なぜ知識を覚えても、スキルがあまり伸びないのか。それは、その知識が本当に自分のものになっていないから。文法のルールや単語の意味を暗記することは、ほんの入り口にすぎない。それにもかかわらず、多くの高校生がこうした知識を頭に入れることをゴールにしてしまっているのが実情だ。
それではスキルを伸ばすためには、暗記以外に何をしなければならないのか。ここでお薦めしたいのは、覚えた知識をAlpha の英文記事の中で「観察」するということだ。
文法を例にとってみよう。a とthe の使い分けのルールを学んだとする。ただ、こうした文法事項は、ルールを頭に入れただけでは完全には理解できない。大事なのは実際に使われている例に数多く触れること。ぜひ記事の中で使われているa とthe それぞれに印を付けて、「なぜそこはa[the]が使われているのか」ということを考えてみよう。このようにルールとして学んだことが実際に運用されている例を数多く観察することで、初めて本当の意味で理解できるようになる。その結果、a とthe の使い分けのような日本人にとっては難しい文法事項も、自分で使えるようになってくるというわけだ。
これは、文法だけでなくボキャブラリーにも当てはまる。たくさんの英単語を暗記したのに英文がスラスラ読めない、覚えたはずの語をライティングで使えない。このような状態に陥っている人もいるのではないだろうか。原因は、その単語の「文中での典型的な使い方」を知らないことにあるケースが多い。
例えばamid という単語がある。「~の中に、~の中で」のような訳語が当てられることが多いが、この訳を覚えるだけでは理解としては不十分。この語は、A rocket landed near the U.S. Embassy in Baghdad amid heightened tensions between the U.S. and Iran.(米国とイランの間の緊張が高まる中、バグダッドの米大使館近くにロケット弾が着弾した)や、The airline’s profits fell 20% due to a decline in ticket prices amid fierce competition in the industry.(その航空会社の収益は、業界内での激しい競争で航空券の価格が下がったことで、20% 下落した)のよう に、「ある出来事の裏にある背景」を説明する際に使われることが非常に多い。こうした各単語の「使いどころ」も、 訳を覚えただけでは身に付かない。やはり、文中で使われている例に数多く触れる必要がある。
このような観察の機会が豊富にあるのがAlpha の大きなメリットの一つだ。知識を覚えて終わりにせずに、それが使われている例を記事の中でチェックする習慣を付けよう。
こうした観察の習慣が付いてくると、特にライティング力が伸びてくる。英語を書けるようになるためには、当然ながらネイティブスピーカーの書いた英文をお手本にするのが一番。その際に、ただ漠然と英文を読むよりも、文法事項や各単語の使われ方に意識を向けて読む方が、より効率的に英語を書く力を向上させられるというわけだ。
ご存じのように大学入試は、従来の「読む」「聞く」だけでなく、「書く」「話す」も加えた4技能すべてをテストする方 向へと変わってきている。そのため、ライティングの重要性は、今後も高まっていくことは間違いない。大量の英文をしっかり観察して、入試を突破できるライティング力を養っていこう。ちなみに、Alphaには実際に書く練習をする英文ライティングのコラムもあるので、これもしっかり活用してほしい(今号は特別編成のため休載)
最後に、これ以外にも高校生読者にお薦めのAlpha のコンテンツを幾つか紹介しよう。
・「Easy Reading」:通常よりも英文レベルを易しくしたニュース記事。記事内に出てくる重要文法事項・ボキャブラリーの解説付きなので、ポイントを絞ってしっかり学べる
・「Small Talk About News」:ニュースに関する英語の雑談を読むコーナー。世の中の出来事に対して、自分の意見・感想を英語で表現する力が身に付く(毎月1・3週目号に掲載)
・「Describe This!」:「アクセルとブレーキを踏み間違えた」のように、言えそうで言えないことを英語で表現するコーナー。幅広い表現力が身に付く(毎月2・4週目号に掲載)