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ブリティッシュ・カウンシル「IELTS奨学金」体験談

春のグローバル教育特集

 

IELTS を活用してイギリス留学
日本の英語教育に貢献

アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアなど、英語圏の大学に留学する際に、英語力の証明として利用することができるIELTS(= International English Language Testing System、アイエルツ)。4技能をバランスよく測る試験として、日本の大学入試でも広く活用されている。IELTS スコアを使い、ブリティッシュ・カウンシル「IELTS 奨学金」も得てイギリスの大学に留学した山本裕也さんの体験を紹介しよう。

――留学を決めたきっかけを教えてください。

「日本の英語教師教育を変えていくのに役立ちたい」と山本さんは語る。

子どものころから「教師になりたい」という夢を持っていたのですが、高校時代に非常に良い英語の先生にめぐり合い、英語教師を志すようになりました。青山学院大学の教育人間科学部で学んだ後、「英語を教えるには、やはり英語圏の大学できちんと教育理論を学びたい」と、イギリスのUniversity of Birmingham(バーミンガム大学)の大学院でTEFL(外国語としての英語教授法)を学ぶことにしたのです。

海外の大学院は2年間かかることが多いのですが、イギリスは1年で修士号を取得することが可能であることから、イギリスを選びました。また、バーミンガム大学は、質の高いTEFL のコースがあることでも知られています。「ぜひここで学びたい」という気持ちを固めました。

――留学に必要な英語力は、どのように身に付けたのでしょうか。

私は帰国子女というわけではなく、英語は日本で学びながら身に付けたものです。英語力を証明するための試験としては、多くの機関で利用できるIELTS に、最初から的を絞っていました。留学の要件を満たすには、「ライティング」「リーディング」「リスニング」「スピーキング」のどれか一つに優れていればよいというわけではなく、各テストにおいて一定以上のスコアを取る必要があります。最初のうちは思うようなスコアを取ることができなかったのですが、同じようにIELTS を活用して留学をした大学の先輩にアドバイスを受けるなどして、次第にスコアを伸ばしていきました。スピーキングは、コンピューターに向かって話すのではなく、面接官と直接会って話す形式のもので、先輩の助けを借りて対話の練習を行ないました。また、オンライン英会話スクールやPodcast によるリスニングなども活用して日々英語に触れることを心掛け、留学前に総合的に目標スコアに達成することができたのです。

イギリス留学中の山本さん(左)

また、留学に当たって奨学金を得たいと考え調べていたところ、ブリティッシュ・カウンシル「IELTS 奨学金」の存在を知りました。IELTS の一定以上のスコアがあれば学ぶ内容は問わないという、非常に魅力的な制度です。倍率が高いと聞いていたので自信はなかったのですが、留学の目的を書いたエッセーや面接官の方々とのインタビューを経て、奨学金を獲得することができました。英国大使館での奨学金授賞式では他の受賞者の方々と会う機会があり、大きな刺激を受けました。

皆さんとその後も連絡を取り合い、アメリカで修士課程に進んで研究者の道を歩んでいる人には、留学時代に勉強に関するアドバイスをもらったりしていました。

――イギリスでの留学生活について教えてください。

1クラス35人の中に13~ 14ヵ国からの学生が集まっている、非常に国際色豊かな環境でした。教師として働いた経験のある人も含まれていて、日本の大学を出てすぐに留学した私にとっては、クラスメートから学ぶこともたくさんありました。

授業はチームを作ってプレゼンテーションやディスカッションを行なうという実践的なもので、スピーキングの模擬授業では、「学校でスマートフォンを使うのはよいことかどうか」というテーマで、教師役・生徒役・保護者役に分かれて話し合いを行ないました。活気に満ちた議論をすることができ、毎日がとても充実していました。

――現在のお仕事について教えてください。

東京の麹町学園女子中学校・高等学校で、英語科の教師をしています。今、日本の英語教育は大きな改革の中にあり、生徒の考える力を育てつつ、それを英語で発信するスキルを伸ばそうとしています。しかし、自分自身が日本の大学やイギリスの大学院で学んだ結果、日本ではまだ、英語教師が実力を養うための教育が十分になされていないのではないかと考えるようになりました。中学でも高校でも、教師は日々の多忙な業務の中で、自身の英語力を伸ばす時間を確保することができないのが実情です。私の留学先の修士論文のテーマは「教師教育」でした。イギリスの大学院で学んだことを生かしつつ、日本の英語教師教育を変えていくのに役立つことができればと考えています。

 

IELTS を留学・大学入試に生かそう!

IELTS は英語力を証明する試験として、世界140ヵ国の1万以上の機関で認定されているテストであり、年間約350万人が受験している。ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP:IELTS オーストラリアの3団体が共同運営しており、テストの中立性が高く、試験問題の精度にも定評がある。日本ではブリティッシュ・カウンシルと日本英語検定協会で共同運営されている。

Getty Images

日本から海外に留学する際、イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランドでは、ほぼすべての高等教育機関でIELTS が英語力を証明する手段として認められており、アメリカでもTOEFL と同様の試験として、3,000以上の教育機関が入学審査に採用しているなど、英語圏の国々で幅広く活用されている。

試験内容は、ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの4つの技能を測定するもので、語彙や文法の力を問うだけでなく、思考力や、自分の考えをまとめて発信する力など、英語圏の大学で実際に講義に参加する際に必要とされるようなスキルが求められる。すなわち、IELTS 対策のために学んだことを、留学先の大学でそのまま生かすことが可能なのである。

また、2020年度の日本の大学入試改革に伴い、英語力判定に利用可能な民間の英語試験の一つであることから、IETLS のスコアを大学入試に活用することもできる。現時点で、英語の外部検定試験の一定以上のスコアを推薦・AO入試の出願要件としたり、スコア換算によって判定を行なったりする大学が増えてきている。こうしたことから、IETLS は高校生にとっても重要な 意味を持つ試験となっており、今後日本での受験者も増えていく傾向にあると言えるだろう。

ブリティッシュ・カウンシル「IELTS奨学金」は、IELTS のスコアを使って海外の大学・大学院で学ぶ人を対象に、毎年選考のうえ支給される。専攻や年齢に関する制限はない。

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