「日本の大学では〇〇学部の△△学科と選んで受験する必要がありますが、例えばアメリカの大学では、学問分野を決めずに出願することが可能です。入学してからも“ダブルメジャー”といって、文系と理系の学問を同時に専攻することができます。“自分の進む道を狭めてしまいたくない。より広い可能性に挑戦したい”と考える人が、海外の大学を目指すのです」と、留学対策専門予備校「アゴス・ジャパン」の留学指導部マネジャー、松永みどりさん。
アゴス・ジャパンでは、志望大学選び、TOEFL・IELTS・SATなどの試験対策、出願書類の作成対策と、留学準備をトータルにサポートしている。
成績・TOEFLなどで多角的に判断
日本の大学入試もAO入試・推薦入試など多様化しつつあり、事前に要件を確認して準備を進める必要があるが、海外大学進学の場合、さらに入念な準備を長期にわたり行なうことが求められる。
「日本の大学受験のように、同時期に一斉に試験を実施するのではなく、各出願者がさまざまな書類を用意して大学に提出し、総合的に合否判断が行なわれます。まず、アカデミックなスキルについては、高校の成績で見ます。普段の学習をしっかり行ない、学校の成績を充実させることが大切なのです」。
例えば、ハーバード大学、スタンフォード大学といったアメリカのトップ校に合格するには、在籍する高校で常に上位の成績を維持する必要がある。
いわゆる「試験」としては、アメリカの大学の場合、TOEFL・IELTSなど英語力を証明する試験と、全国統一試験SATの成績が必要とされる。
「いずれも、詰め込み学習をして急にスコアが上がるわけではありません。1~2年といった時間をかけて、徐々に目標のスコアに近づく必要があります。海外大学進学を目指す人は、できれば高1から準備を始めてほしいと思います」。
自分から行動を起こすことを学ぶ
さらに、部活動や校外でのボランティアなど「課外活動」の記録が求められ、英語でエッセーを書く必要もある。
「大会で優勝したとか、賞をいくつもらったということだけを知りたいわけではないのです。スポーツや音楽など趣味でもかまわないので、自分が興味のある活動に取り組み、自分の意欲を活動の記録やエッセーで伝える。そういった、テーマのある出願書類が好印象を与えます」。
しかし、日本の学校教育では与えられた課題を着実にこなすことに主眼が置かれているため、急に「興味のあることに取り組みなさい」と言われても、すぐに実行に移すことができない例も多い。アゴス・ジャパンでは、その点をサポートするカウンセリングも行なっている。
「これをやりなさい、と教えるわけではありません。インターネットで検索し、自分の好きなことを究めるにはどういう方法があるか、どこでどのような活動すればいいか、自分で見つける方法を指導します。海外の大学は日本のように手取り足取りフォローしてくれるわけではないので、そうやって自分から行動を起こす術を身につけると、実際に海外の大学で学ぶうえで大変役に立ちます」。
アゴスで学んで今年アメリカの大学に合格したある学生は、「自分の興味の対象を一つに絞りたくない」と、中3のときに海外大学進学を決意。高1からTOEFLの勉強を始め、高2からSAT対策を開始、高3の春からエッセーの作成に取りかかった。さらに奨学金獲得のための準備も並行して進め、早期選考によって高3の12月には目標の大学への合格を果たしたそうだ。
「早め、早めに準備を進め、出願前に焦らないようにすることが、成功の秘けつです。アゴスでは、試験対策の講師、エッセー対策のコンサルタント、全体の相談に乗るカウンセラーと、各分野のスペシャリストが一丸となって指導に当たっています」。
奨学金のプログラムは、日本国内の団体が提供しているもの、海外の大学・財団等が支援しているものなどさまざまで、どれが自分に適しているか、選ぶ力も必要だ。奨学生の選考には成績などに関する厳しい審査があり、奨学生に選ばれたということが大学の入学選考に有利に働くこともあるそうだ。
「合格通知を手にするまでに、皆見違えるように成長しています。留学を始める時点で、すでに国際的に活躍するための素地ができていると言えます。その力は、将来必ず就職やキャリアアップにも結びつくでしょう」。