1、2週間の短期語学研修でも、1年以上の長期留学でも、海外の学校に通うにあたり、どのような準備をしていけばよいのか不安に感じている人は多い。また、留学とは学ぶことだけでなく、「外国で生活をする」ということだ。初めての一人暮らしが海外になるという人もいるだろう。そこで、留学を成功させるためには、出発までに何を準備していけばよいのか、留学中の生活ではどのようなことに気を付ければよいのかなどを紹介する。
留学を決めるにあたり、英検やTOEFL、TOEICなどで一定以上の成果を出すことを目標とする人は多いだろう。たとえ留学前に目標の級やスコアを達成することができたとしても、渡航直前まで、しっかりと英語の勉強を継続するようにしよう。留学すれば毎日が英語での生活になり、語学学校でリーディングやライティングの課題に取り組むこともある。毎日英語を聞く・読む・書く・話す練習をしておけば、それが留学中の勉強に大いに役立つはずだ。
また、ホームステイ・寮・アパートなどを利用して暮らし、現地で買い物などをするようになると、日常生活での英語のやりとりに意外に困ることがある。英語圏では、初めて入ったお店でIt’s a nice day, isn’t it?(今日はいい日だね)のように、気軽に話し掛けられることもあるものだ。テレビやラジオの英語講座や英会話教材などを利用し、普段の何気ない英語のやりとりに慣れておこう。また、「日付や時間」「お金の数え方」「単位(アメリカでは主にinchやpoundが使われる)」など、普段あまり気にしていなかった細かいことが、とても重要になってくる。海外ドラマや外国映画を見ながら、買い物や交通機関を利用するシーンの会話を注意して聞いてみるのも参考になるだろう。
留学先の学校がどの街にあるか、どのような交通機関があるかといったことは必然的に調べていくだろうが、留学生としてその国に渡ると、意外に国や社会そのものについて語る必要が生じる場合がある。例えば「その国の人口」「面積」「国の指導者の名前」「民族構成」などを知っておかないと、真剣にその国で学ぶ意欲があるのかどうか疑問を持たれることになりかねない。こういった国家の基本情報を、英語で言うことができるようになっておこう。
また、日本に興味を持って、いろいろと尋ねてくる人に出会うこともある。日本の人口や面積など基本的な情報に加え、「アニメ」「ラーメンなどの日本食」「京都や富士山などの有名観光地」など、外国人にとって関心の高そうなことについて英語で話せるよう準備しておくと、授業や友人、ホストファミリーなどとの会話で役立つはずだ。
「外国で暮らせば自然に英語が上達するはず」と思ってしまう人がいるようだ。実際には、語学学校に通い、買い物をして食事をして…といった生活は、ごく限られた会話をするだけで済んでしまい、それだけでは英語が自由に話せるという状態とは程遠いままだ。留学の成果を出すためには、英語を使えるようになるための工夫を、自分から生み出していかなければならない。
例えば、ホームステイをしているなら、Good morning.(おはよう)、See you later.(また後で)といったあいさつをきちんと交わすのはもちろん、その日の学校での出来事などを、自分から話すようにしてみよう。話好きな人だと思ってもらえれば、相手も気軽に話し掛けてくれるようになるだろう。
語学学校には、たいていアクティビティーという課外活動が設けられていて、近隣への日帰り旅行やスポーツ、パーティーなどに参加する機会がある。興味があるものに参加すれば、そこで新しい友人を作ることができ、普段から交流する機会が出てくるかもしれない。
ある程度慣れてきたら、地域コミュニティーのボランティア活動やイベントに参加するという方法もある。学校が紹介してくれたり、地域の自治体のウェブサイトに募集が載っていたりすることもある。教会の清掃、幼稚園や介護施設で子どもや高齢者の遊び相手・話し相手をするなど、特別な知識や経験がなくても参加できる活動もあるだろう。日本でサッカーをやっていた日本人学生が、地域の子どもたちのサッカーチームの指導を手伝って人間関係の輪が広がったという例もある。
留学を就職やキャリアアップに生かしたいのであれば、インターンシップを体験してみるのもいいだろう。これも、学校が紹介していたり、地元企業のウェブサイトに募集の掲示が載っていたりする。無給のインターンシップを数週間だけ経験するといったことが可能なので、海外のオフィスの様子を知っておきたいという人にはよい経験となるはずだ。
このように、アクティビティーやボランティア、インターンシップなどへの参加を通して人間関係のネットワークが大きく広がり、留学後も連絡を取り合い、やがて仕事上のつながりに発展するというケースもある。後悔のない留学にするためには、自分のできることに、積極的にチャレンジするようにしよう。