グローバルな問題を身近な課題として捉え
SDGsに取り組む獨協大学国際環境経済学科
獨協大学国際環境経済学科では、国連のSDGs(持続可能な開発目標)達成を目指し、地域社会や国際社会に貢献できる人材を育成している。現在も進行している活発な活動の例を紹介しよう。
オンライン英会話でフィリピン貧困層を教育支援
昨年11月に「獨協大学経済学部プレゼンテーション・コンテスト」が実施され、国際環境経済学科米山昌幸教授のゼミ生による「途上国における貧困撲滅のための支援プロジェクト」チームが最優秀賞を受賞した。テーマは、「オンライン英会話で子どもたちに明るい笑顔を~フィリピンで暮らす貧困層に向けた教育支援の提案~」である。このチームは、2019年にフィリピンのセブ島を訪れてスラム街の現状を視察し、多くの子どもたちが家庭の貧困のため働かざるを得ず、教育を受けることが困難な状態にあることを知った。そこでメンバーが考えたのが、会議システムZoomを使ったオンライン英会話による就学支援である。貧困地域の15歳以上の子どもが獨協大生向けの英会話パートナーとなり、報酬として学用品を受け取る。今年度のうちに、この企画を全獨協大生を対象に実現することを目指しているそうだ。チーム代表の佐野寿來さん(経営学科4年)は、プロジェクトの経緯をこう語る。「コロナ禍にあって、再び現地に赴き支援をすることが難しい状況になったため、日本にいて何かできることがないかと考え、Zoomを使った支援を思い付きました。」
獨協大側では、オンライン英会話で学生の語学力を高めると同時に、この交流を通して、貧困問題に関心を持つ学生が増えることが期待できる。また、活動を長期的に継続することで、フィリピンの貧困層が教育に使う資金を増やすこともできるだろう。1人でも多くの子どもが貧困の連鎖から抜け出せるよう手助けをするという目標を掲げ、活動を進めているそうだ。
また、国際環境経済学科の木原隆司教授のゼミでは、例年、東南アジアの開発援助現地調査を行なっていたが、コロナ禍で海外渡航ができない中、オンラインで海外とのつながりを継続している。木原ゼミでは現地調査に代えてZoomを用いてアジア開発銀行(ADB)への「オンライン訪問」を実施。 アジアの教育・洪水対策・メディカルツーリズム・格差などの研究課題について世界各国にいるADBスタッフに質疑応答・議論を行なった。コロナ禍で途上国の置かれた状況はますます厳しさを増している。開発援助とソーシャル・ビジネス、両面から実践的に途上国支援に取り組む国際環境経済学科の学びに期待が高まっている。
エコツーリズムや集落復興支援に学生のアイデアと行動力を生かす
また、福島県の「大学生等による地域創生推進事業」には、獨協大学から4チームが参加している。米山教授が全学生から参加希望者を募ってチームを編成し、2017年度から取り組んでいるものだ。南会津町耻風(はじかぜ)地区の支援を担当する大竹ゼミ耻風チームは、地域の特産品を使った新商品を開発し、それらを学園祭や地域のお祭りなどで販売してPRしたり、ドローンを使ったPR動画を作成するなどした。 ほかにも、福島県産の杉材を生かして木箱を制作するワークショップを開催したり、田園地帯を歩くフットパスツアーの企画、源泉を生かした温泉町の復興などに取り組んでいるチームがある。
今年度は新型コロナウイルス感染の影響がある中でも、現地の人々とZoomで連絡を取り合い、地元の食材を生かした菓子作りの企画などが進んでいる。 獨協大学は、今年「埼玉県SDGs官民連携プラットフォーム」「埼玉県SDGsパートナー」に参加し、地域と連携してSDGsへの取り組みを進めているところだ。「コロナ禍においても、SDGs達成に向けた歩みを止めることはありません。グローバルな問題を身近な課題として捉えたアクティブ・ラーニングを、多くの方々にご協力いただきながら継続していきます」と、米山教授は展望を語った。
伝右川再生プロジェクト」で環境省の功労者表彰を受賞
獨協大学