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ビリギャルが再び猛勉強の末、NY留学を実現。1年経って見えてきた、留学と英語学習のリアル

Sayaka Kobayashi

塾講師による書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』が「ビリギャル」として2015年に映画化され、大ヒットを記録。この主人公のモデルである小林さやかさんは現在35歳。慶応大学卒業後一度就職するも、再び日本の大学院で修士号を取得し、さらに英語の猛勉強を経てアメリカの大学院に入学。現在NY留学の2年目を迎えたところだ。
今回はそんなさやかさんに、海外留学対策の英語と、実際に留学してから必要とされる英語力、そして、今だからわかる英語を学ぶ意義について伺った。

映画「ビリギャル」は主人公が東京に向かう新幹線に乗っているシーンで終わるが、さやかさん本人の人生にはそこからまた続きがある。2022年にコロンビア教育大学大学院に進み、この9月から2年目に突入した。大学卒業からどんな経緯で海外留学挑戦に至ったのだろうか。

大学卒業後、ウェディングプランナーとして働いて3~4年後に「ビリギャル」が出版されました。退職してフリーランスになった時期とビリギャルブームが重なり、本格的に講演活動をするようになりました。年間100本以上の講演を受けていましたね。でも「自分の経験談だけ語っていても意味がない。もっと自分を客観的に理解できないとだめだ」と、聖心女子大大学院に入って学習科学を学び、修士号を取得しました。
日本で修士号を取るのももちろん大変ですが、私が学んだ認知科学や学習科学の分野では日本語でアクセスできる文献やデータの量が少ない。日本では人の学習に対してロジカルに理解しようとする流れがないんです。一方アメリカは科学的に証明する文化なので、そういう場所でもっと学びを深めたいと思いました。修士号を取る頃には「もう海外に出るしかないな」と決めて準備を始めていましたね。

仕事と収入を失う不安もありつつ、それでも自分の成長に満足できないからと留学を決意したのは30代になってから。留学に向けた準備は順調だったのだろうか。

私は元々英語ができなくて。当初第1希望としていたハーバードはTOEFLスコア(120点満点中)104以上が必要で、他に考えていた大学でも90が最低の足切りライン。当時の60くらいからそのレベルまで持っていくのは、偏差値28から慶応を目指して勉強することよりも想像がつかないものでした。1日最低8時間以上、死に物狂いでTOEFL対策をしました。

猛勉強の末、見事大学院入学が決まり、留学生活が始まった。しかし授業や普段のコミュニケーションにおいて求められる英語力や会話力はまた別の次元だったという。

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世話好きでスラングも教えてくれる、友人レイチェルと

TOEFLって英語ノンネイティブの人が英語圏に留学するときに、授業についていけることを証明するためのもの。全て学術的で、ネイティブでもあまり使わないようなボキャブラリーばかりなわけです。だから実際の授業で意見を述べたり、普段のコミュニケーションで必要な英語は全然違いました。最初は友だちが言ってることも全然わからず、教材通りの正しいフレーズを言ったつもりでも「そんな風に言わないよ」と、スラングを教えてもらいましたね

アメリカ人はどんな些細な事でも、「あなたはどう思うの?」と意見を求めてきて、それについてずっとしゃべっていられるんです。英語ができる・できないの前に自分の意見を持っていないことに、ディスアドバンテージを感じました。
英語で伝えたいこと考えるときに、英語って上達すると思うんです。常に受け身の勉強だと、受験で点数を取れる英語力しか育たない。「自分はこう思う」っていう意見を英語でアウトプットする練習は絶対に必要です。その訓練を自分がやれてこなかったから、そこは今、とても苦しんでいるところです。

それならば!と「The Japan Times Alpha」をさやかさんに見てもらった。Alphaには世界と日本の時事や、日常的な会話のスキットも豊富に記事として用意されている。

実は私、留学準備をしていた頃に「週刊ST」(Alphaの前身)を購読していたんです。知らない単語を見つけたらマーカーを引いて、アプリのクイズレットに入れていました。でもTOEFL対策の方が忙しくて、残念ながら結局ほとんど生かせずにやめてしまいました。
でも今見ると、TOEFL対策にも使えるし、大学生やビジネスマンの人にも、日頃から英語で情報を取り入れるのにすごくいい。私自身、留学終えて日本に帰った後も、日常的に英語に触れる機会を作らなきゃいけないのでAlphaを読みますよ。

Alpha front page

私、日本の新聞が読めないんですよね。わかったつもりで読んでいても、結局何だかわかんないな、となる。読むモチベーションも保てない。だから日本の新聞読むくらいだったら、Alphaから英語で時事問題を知れたら一石二鳥だと思うんです。「へえ、処理水って英語でこう言うんだ!」って発見をして、周辺知識も調べながら読んだ方がずっと理解が深まります。

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「英文ライティング講座」には、以前購読していた時に英作文を投稿したこともあります。採用してもらえませんでしたが(笑)。このコーナーで「この言い回し使えるな」と思ったら、全部ためておくといいですよ。これはTOEFLやIELTSのライティング対策にも使えます。嶋津幸樹先生※の解説には「こういう風に言えばいいのか!」「主語をこっちにするとこんなにおしゃれな文になるんだ!」というヒントがいっぱいです。
※嶋津幸樹先生:「伝わるコツを解説! 英文ライティング講座」連載担当。独学でIELTS 8.0を獲得、ロンドン大学教育研究所修士課程修了。

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あとはClub Alpha (Webサイト)もありますよね。この、記事でエクササイズするListening &Speakingを1日1回やったら相当な力がつくし、これだけで完結しますね。
私はTOEFL教材でディクテーションをやっていました。1文ずつ音声を何回も聞いて、一言一句タイプして、自分がどんな音を聞き取れないのかを確認する。その後シャドーイングして音読。これをやるのに、このListening &Speakingには音声もスクリプトも全部揃っていて、かつ長さがめちゃくちゃちょうどいい。そして最後のSpeaking Practiceには、記事を読んでWhat do you think?に答えるエクササイズがある。独り言でも、誰かとやってもいいし、中高生の早いうちからこういうことをやっておくといいと思います。

Listening&Speaking サンプルを試す

活用法をたくさん発見してくれたさやかさんには、NYでAlphaデジタル版の購読を再開していただくことになった。「英文ライティング講座」に傑作を投稿してくれることに期待しよう。
その他、さやかさんオススメのコーナーはこちら

さやかさんはこの夏、ヨーロッパ9か国を一人旅でまわった。そこで見て、感じたことと、改めて考える“英語を学ぶ意義”とはー

Sayaka Kobayashi

ヨーロッパでは、どこへ行っても英語が使えるということに衝撃を受けました。少なくとも都市部では、店やカフェの店員さんたちは皆、英語で会話ができます。北欧へ行くと、特にフィンランドでは素晴らしくきれいな、ネイティブに近い英語を聞きました。人口の少ないフィンランドでは、母国語で学ぼうと思っても限界がある。だから「英語を学ばないという選択肢はない」のだそう。
英語圏ではないヨーロッパの国で、英語を生活のツールとして使いこなしている人と関わりながら、「自分は英語できなかったらどうなっていただろう」と考えると、英語はすごくパワフルな言語だということに改めて気付かされます。このパワフルさに気付いていない日本人、島国やばいなと(笑)。
英語ができるだけで、触れられる、体感できる世界が爆発的に増える。だからもっと英語を学びたい―留学前に想像していたのとは比較にならないくらい今、実感しています。


※記事の内容は2023年9月時点のものです。

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