前回に引き続き、Alphaを会話力のアップに活用する方法をお伝えします。
Alphaの購読者の方は、毎週「シネマ倶楽部」というコンテンツが掲載されていることをご存じだと思います。これは公開前の洋画の脚本の一部を和訳とともに読むことができるコーナーで、Alphaの中でも特に人気の高いコンテンツです。実は、この映画欄も、活用次第で会話力アップにつなげることができますよ。
やり方は簡単。このコーナーでは登場人物のセリフが英日併記されていますが、まずは日本語訳から読むこと。その上で、その日本語はどんな英語を訳したものなのかというオリジナルのセリフを考えてみてください。もちろん、一語一句すべてを英訳する必要はありませんが、「この日本語は、英語ではどんな風に表現するのかな」ということを少し考えてみるだけで、いつもより英語表現に意識が向くようになりますよ。
この活動をやってみると、英語では意外とシンプルな言葉を使って表現することが多いということに気付かれると思います。例えば、以下は実際に掲載されたセリフの和訳です。それぞれ、オリジナルの英語はどのようなものだったのか、考えてみてください。
分かりましたか? それぞれ、オリジナルの英語は以下の通りです。
1)I’m very very sorry.
2) Oh no!
3) Ah Burgess, just the man.
いかがですか? 思ったよりシンプルであることに驚かれたかもしれませんね。「お悔やみ」はcondolenceなどの難しい語を使っても表現できますが、sorryでも同じ意味を表せます(veryを繰り返すことで「心より」のニュアンスを表しています)。Oh noは幅広く使える表現だし、just the manと言えば「ちょうどの男=今まさに必要な男」という意味を表現できます。このように、シンプルな表現方法を知ることができるのが、この活動の最も良い点です。これを繰り返せば、自分の知っている簡単な単語を駆使して幅広いことを表現できるようになりますよ。その結果、会話力も大きくアップするというわけです。
他にもAlphaを使って会話力をアップさせるための活動として、記事の「3文要約」があります。これもやり方は簡単。英文記事を読んだら、それを3文の英語で要約するだけです。「何だか難しそう」と思われたかもしれませんが、やってみると意外とそうでもありませんよ。要約と言っても試験ではありませんから、あまり厳密に考える必要はありません。以下の手順に従ってやってみましょう。
① 記事の中で最も重要と思われることを英語にする(記事本文から抜き出してもOK)
② その他、重要と思われることを2文付け足す(これも抜き出してOK)
このように、記事に出てきた文をそのまま使えるので、それほど難しくはないのではないでしょうか。ちなみに、Alphaのp. 2には毎週、1面のトップ記事の要約文が載っていますよ。例えば、2019年5月3日号では、スリランカでの爆破テロ事件の記事の要約として、以下の文が掲載されました。
「記事に出てきた文をそのまま使うだけで勉強になるのかな?」と思われたかもしれませんが、ここにあるa series of ~(一連の~)、claimed responsibility for ~(~の犯行声明を出した)、identified as ~(身元が~だと判明した)などは、いざ英語で表現しようとしてもなかなか出てこない方が多いのではないでしょうか。こうしたものを、ただ読んで終わりにするのと、要約という形で改めて自分でも使ってみるのとの間には雲泥の差がありますよ。実際に使ってみることで、初めてそれが自分にとって「使える表現」になっていくのです。結局この活動の目的は、要約という形で、記事に出てきた表現を自分でも使ってみること。慣れないうちは記事の文をそのまま抜き出すだけでも結構ですので、毎週1面トップ記事を読んだら、この3文要約をすることを習慣化しましょう(もちろん余裕があれば、他の記事も要約してみましょう)。
1面には、事件ばかりでなく、選挙の結果、スポーツの偉業、環境問題など、さまざまなニュースが使われます。これらを読んで3文要約をすることで、さまざまな話題について英語で語れる力が少しずつ付いていきますよ。