「辞書」をテーマにした過去2回は、「Alphaを読む時は、いちいち辞書を引かない」「知らない単語の意味を推測する力を身につけよう」というお話をしてきました。そして「推測する力」を身につけるには、辞書に書いてある情報を学ぶ必要があります。つまり、辞書自体は日頃からしっかり活用しなければならないわけです。
そのためには、毎週Alphaの中から1つだけじっくり読む記事を決めるとよいですよ。その記事だけは、辞書を引きながら完璧な理解を目指しましょう。こうすることで、辞書を活用する機会が嫌でも生じてきます。
基本的にご自分が好きな記事を選べばよいのですが、私のお薦めは「Essay」のコーナーです。「じっくり読む」には長さとしてもちょうどよいし、内容が幅広く、それに伴ってさまざまなボキャブラリーが使われるので、辞書を引く素材としては最適です(さらに、全訳もサイトに掲載されるので、ご自分の理解が正しいのか確かめることも可能)。
このようにAlphaを読む際には、辞書を引かずにさらっと読む、辞書を引きながらじっくり読むという2方向の活用をするとよいですよ。
「英英辞典」とは、英単語の定義を英語で説明している辞書です(それに対し、日本語で説明しているものを「英和辞典」と呼びます)。セミナーなどで「英英辞典を少なくとも1冊持っている方いますか?」と聞くと結構手が上がるのですが、「それでは、その英英辞典を日頃から使っていますか?」と聞くと、途端に手が下がります。それもそのはず。英語が分からないから辞書を引いているのに、説明が全部英語で書いてあるなんて、思わず敬遠してしまいますよね。
でも、英英辞典には非常に大きなメリットがあるので、ぜひ活用する努力をしましょう。そのメリットを一言で申し上げると「単語の本質的な意味が分かる」ということ。英和辞典は、英単語の「意味」が載っていると思っていたかもしれませんが、これは厳密には間違い。「意味」ではなく、その単語が表すことに最も近いと思われる日本語が掲載されているだけです。当然ながら、本当の「意味」とはズレが生じる場合があるし、そこに書いてある日本語だけで全ての用例をカバーできないなどの欠点があります。一方、英英辞典には、まさにその単語の「本質的な意味」がストレートに掲載されていますよ。例を挙げて説明しましょう。以下の文をご覧ください。
見ての通り、全てfeatureという動詞が使われていますが、訳は「出演している」「搭載している」「展示される」「参加している」など、さまざまですね。実は、こうした日本語訳なんて文脈によって(それから訳す人によっても)いかようにも変わってしまいます。そして英和辞典は、その中でもよく使われることが多いであろう訳をいくつか掲載しているに過ぎないのです。
このような日本語訳のパターンを一生懸命暗記しても、あまりメリットはありません(文脈が変われば、訳もまた変わってしまいますから)。それよりも、その単語の「本質」を捉えましょう。上記の例のように、バラバラの意味で使われているように見えても、同じ単語ですから、全てに共通するその語特有のイメージがあるはず(これがすなわち「本質」です)。featureという動詞は「~を(重要な特徴として)持っている、含んでいる」というのが本質的な意味です。皆さんご存じのhaveやincludeに「重要な特徴として」というニュアンスが加わったものだと考えておきましょう。これを踏まえて、改めて上の文を見ていただくと、全て「~を(重要な特徴として)持っている、含んでいる」というニュアンスで使われているのが分かると思います。日本語訳は、文脈を考慮して自然と思われる言い方にそれぞれ変わっているだけです。
このような単語の「本質的な意味」を捉えれば、どんな文脈で使われても理解することができます。逆に、日本語訳だけで覚えている人は、どうしてもその訳にうまく当てはまらない文が出てくると、途端に分からなくなってしまうのです。
それでは、どうしたら本質を理解できるのか。ここで英英辞典の出番です。例えば英英辞典『Merriam-Webster Learner’s Dictionary』でfeatureを調べてみると、「to have or include someone or something as an important part」という、まさにそのものズバリの本質的な意味が書いてあります。このように英英辞典を活用すれば、単語の「本質」に迫ることができますよ。「普段使うのは英和辞典でも、Alphaを読む時だけは英英辞典を使う」など、ご自分なりの使いどころを決めて活用するようにしましょう。