「コンサートのチケットを取るのがこれほど難しいことはなかった!」と私の友人は嘆いた。
彼女は、シンガポールで2024年3月に予定されているテイラー・スウィフトのコンサートに行きたがっていた。しかし、どれだけの時間と運を必要とするかを知り、その望みを諦めた。
シンガポールは、テイラー・スウィフトの「The Eras Tour」のアジア2会場のうちの1つだ。もう1つは日本だ。
コンサートのチケットを入手するために、シンガポールと近隣諸国のたくさんのファンが特定の銀行のクレジットカードに申し込んだ。このクレジットカードは彼らに、一般発売の2日前のオンライン先行発売への権利を与える。
その銀行は、シンガポールと近隣諸国での新しいクレジットカードの申し込みは、テイラー・スウィフトがコンサートの日付を発表した週に、その月のそれ以前の週を比較して1日当たり平均で45%増加したと述べた。
しかし、先行発売の権利を得ることは長いプロセスの最初のステップに過ぎなかった。発売開始から10分以内に、待つ人の数は、伝えられるところによると、100万人に達したという。先行発売のチケットは3時間で飛ぶように完売した。
友人の何人かは、整理券のよい番号を手に入れることを期待して、チケット購入ウェブサイトに同時にアクセスできるように複数の機器を準備した。誰もうまくいかなかった。多くのファンが、突然ログアウトさせられる、支払いをしようとするとページが停止するといったウェブサイトの問題にいらいらしたという。
ファンたちは、誰もが欲しがるこのチケットをつかむチャンスを2回目の発売でもう1度手にしたが、そのプロセスは多大な努力を要するものだ。オンラインでチケットを買うことができ―第1ラウンドのチケット発売と同じ問題が伴う―、あるいは郵便局で直接並ぶことも可能だ。
多くのファンが両方した。彼らは物理的な列にも、オンライン上の列にも並んだ。野宿する準備をして2日前に郵便局に現れた人々もいた。予想通り、チケットは同じくらいすぐに完売した。
ダフ屋がすぐに現れた。元々348シンガポールドル(3万7,000円)で買われたチケットは、480シンガポールドル(5万1,000円)から、目玉が飛び出るような金額の3,000シンガポールドル(31万8,000円)で売りに出された。
当局にダフ屋を起訴するように求めたり、コンサートの主催者にダフ屋行為を阻止するように求める人々もいた。例えば、数年前のエド・シーランのコンサートでは、購入者の名前がチケットに印刷され、身元確認が入場の段階で実施されていた。
チケット販売はシンガポールの人々だけに限定されるか、あるいは、外国人には少なくとももっと難しくされるべきだと主張する人もいた。しかし、経済学者たちは、シンガポールの市場は小さ過ぎると指摘してきた。近隣諸国のファンたちがいなければ、テイラー・スウィフトのコンサートは現在の6日間ではなく1、2日しか開催できないだろう。
私はコンサートを楽しむが、2晩も並んだり、値段をつり上げてチケットを売るダフ屋に報酬を与えたりすることはないだろう。しかし、どうにかチケットを手に入れることができた人々にとっては、そのコンサートは絶対に忘れられない経験になるだろうと想像する。