「あと4回! 3、2、1!」 私が小声で悪態をついたのが誰にも聞こえないくらい音楽が大きくて好都合だった。私の身体は力が抜け、人はなぜ、こんな苦痛を感じることにお金を払いたがるものだろうかと思った。
それから、お金は払っていなかったのだと私は思い出した。パートナーが私に誕生日プレゼントとしてピラティススタジオの1年間の会費を払ってくれたのだった。だから、プレゼントを無駄にしたくなくて―それにランニングによるけがを予防する方法を見つけたかったこともあり―私は週に2回グループレッスンに通い始めた。
私はグループレッスンのクラスを少なくとも10年は受けておらず、ピラティスはかなり怖く見えた。これらのクラスは、リフォーマーベッドと呼ばれるものを使用し、これは一見すると、拷問器具のように見える。一部の動きは確かに拷問のような感じがする。しかし、驚いたことに、私は努力を続けられた。クラスがフレンドリーな女性インストラクターたちに運営されていることが助けになっている。クラスが女性だけで、さまざまな体型、年齢、筋肉量の女性たちがいることも助けになる。動きを簡単そうに見せる人もいる。私のように苦労している人もいる。私のように、足を替えるのを忘れて、片足だけ鍛えて終わる人もいる。全員がいろいろな点で励みになっている。
1度、特につらい一連の動きを終えた後で、私の後ろにいた年上の女性がどれほど疲れ切ったかを劇的に示したことがあった。彼女の足はリフォーマーベッドの上に乗っていたが、胴体は地面に付いていた。ベッドの上から溶け落ちているかのように見えた。彼女の気持ちがよく分かったので少しクスクス笑ってしまった。彼女の友人は、半分心配しつつ半分笑いながら彼女の方を見て、2人ともその運動がどれだけきつかったかを認めていた。
クラス中はみんなたいていとても真剣だ。私は、マッサージボールが逃げ出すといった、面白いことやどこか気まずいことが起こるときが好きだ。この硬いとげとげしたマッサージボールを足の下で転がすために、私たちがその上に立っているときはいつも、どうしても1つ飛び出して行って、床を横切って部屋の反対側まで飛んでいく。これが起こるたびに、私はスタジオジブリの映画のススワタリが逃げ出そうとしているのを想像する。
毎回のセッションの後、どれだけ体が痛んでも、それはいい痛みだ。私は自分の身体の中に存在していたことすら知らなかった筋肉を使っている。それに、カイロプラクターのところへ前回行ったときの話によると、私の骨盤の位置は大幅に改善しているという。
ピラティスのクラスがこれから他に何をもたらしてくれるのか、私は楽しみだ。インストラクターたちのように、罵り言葉ではなく笑顔でカウントダウンを終えられるようになる日も絶対に楽しみにしている。