「座間味島のこと、覚えてる?」
「もちろん! 流れ星とあの美しいビーチは忘れないよ!」
最近、私は旧友のNに会った。Nは仕事で韓国からシンガポールに引っ越した。私たちが最後に会ってから20年近く経っていた。それでも、一瞬で、時間が逆戻りしていた。
私たちはJALのスカラシッププログラムで知り合った。それは、年に1度日本で開かれれる1ヵ月間の交流プログラムで、アジア太平洋地域の10ヵ国以上から約40人の大学生が参加した。
ゼミと講義のほとんどは東京で行なわれたが、日本のさまざまな場所へフィールドトリップへも出掛けた。Nと私は沖縄で3日間を過ごし、地元の文化とサンゴ礁の重要性について学んだ学生たちの中にいた。
持続可能性は今では日常的な話題だが、当時は私たちの多くにとって、野生動物の保護や環境保護について掘り下げた議論をそんなにたくさんしたのは初めてだった。
日本にいる間に、私たちは比類のない自然の美しさを自分で経験した。私は座間味島周辺で澄み切った海の中をシュノーケリングして、水中の鮮やかな色のサンゴとビーチの上の白化したサンゴのはっきりとしたコントラストを自分の目で見たのを覚えている。今まで見たことのないような流れ星を目の前で見せてくれた澄んだ夜空も私の記憶に刻まれている。
1ヵ月で学べることには限りがあるが、振り返ると、Nと私は意識の種が重要だということで意見が合っている―その種が植えられてから、私たちはいつも環境と持続可能性を大きなことでも小さなことでも考えてきた。
このことは、ごみの減量やカーボンフットプリントについて考えること、必要のないものにNoと言うことを意味している。私は普段、タクシーの代わりに、電車かバスに乗るようにし、肉よりも野菜をたくさん食べるようにしている。
Nと私は、あの交流プログラムが私たちにあれほど大きな影響を与えたのはなぜだろうかと不思議に思った。私たちが若く、感受性が強かったからかもしれない。あのプログラムのおかげで、文化の異なるあんなにたくさんの仲間たちと交流できたからかもしれない。
私たちは全員、自分の視点を示し、お互いに友達になるにつれて、異なる視点や世界の見方に心と思考をオープンにしていった。Nは、マレーシアとインドネシアからの参加者は彼にとって初めてのイスラム教徒の友人になり、メディアにおける描写に基づいたイスラム教の世界についての彼の理解がいかに表面的であるかに気づいたと語った。
本やその他のメディアを通じて、どれだけ多く読んだり学んだりしようと、直接会っての交流と開かれたコミュニケーションから来る学びはきっとかけがえのないものだ。
私は、もっと多くの若者が私たちのしたような経験ができることを望む。そして、そういう若者たちは貴重な見識だけでなく、生涯続く友情も得られるだろうと思う。