ニワトリ、サル、カワウソ、イノシシに共通するものは何か? 彼らはシンガポールの路上にいるかもしれない。
シンガポールは、マリーナベイ・サンズやチャンギ空港などの現代的な建築物で知られる都市国家かもしれないが、近年、住民が野生動物と遭遇する頻度が増えてきている。
野生のニワトリはさまざまな地域で、ひよこを連れて歩き回り、草や土をつついているところを目撃されることもある。ここに引っ越してきた韓国人の友人は、こんなことは韓国の特に都市部では想像できないと話していた。彼は、シンガポールのニワトリは農場か誰かの家から逃げてきたと思っていた。
自然保護区の近くに住んでいる人々は、サルを見かけることに長い間慣れていて、サルは食べ物を求めて家の中に入ってくることで知られている。しかし最近、このサルたちは、森からずっと離れたところでも目撃された。話題になった動画では、サルの集団が市の中心部の近くの地域で、アパートの棟の外壁を『ミッション・インポッシブル』のように登る様子が映し出されていた。
イノシシとカワウソも残念な出来事でニュースになった。1人の女性がバス停で待っているときに後ろから襲いかかってきたイノシシにケガをさせられた。イノシシは女性の尻とふくらはぎにかみ付いた。
別の男性は、約30匹のカワウソの群れの動画を撮ろうとしてカワウソを追いかけた後で、公園で走っているときに1匹のカワウソにかまれた。カワウソは水泳プールや私有の池の中にも入ってきて、ペットのコイがカワウソの餌になってしまい非常に残念な思いをした飼い主もいる。
シンガポールの霊長類学者アンディー・アンさんへのインタビューで、「野生動物との遭遇」の件数が増えている背景に2つの主な理由があることを私は知った。1つには、シンガポールは「自然の中の都市」になることを目指している。これは、私たちは都市環境を動物たちにとってより快適なものにしようとしているという意味合いだ。次に、例えばアパートをもっと建設するために森林を伐採するときに私たちは動物たちの生息地に侵入しており、動物たちは他に行く場所がないのだと、アンさんは述べた。
どうすれば私たちは野生動物と共存していけるだろうか? アンさんには3つの提案がある。まず、敬意を持った距離を保つこと。それから、動物たちに餌を与えないことと彼らの食料源を奪わないこと。つまり、果物を取ってはいけない。最後に、自然環境をそのままにしておくこと。「私たちが自然保護区に入るとき、私たちは動物たちの家に入っているのです」とアンさんは話す。「誰かの家を訪問するとき、何かを盗んだり、乱したりしませんよね? 岩や小石といった小さなものでもそのままにしておくべきです」。
最近の旅行で上高地へ行ったとき、私は彼女の言葉を思い出した。私たちの前に数匹のサルが見えると、同じ登山者は礼儀正しく「すみません、お邪魔します」と言ってから、慎重に穏やかにサルを通り過ぎた。私は静かに後ろをついていき、心の中でありがとうを言った。