私は混雑した部屋の中に立っている。照明は強過ぎ、温度は不快なほど温かい。時々、「ピンポン」という音が鳴り、番号のアナウンスが続いた。私は443番で、今の番号は430番だ。
432番。私は出入国在留管理局にいる。私はこの支局にもう何度も来ているので、入館のプロセスはほぼ無意識にできる。ドアが開き、左へ曲がる。記名して、訪問者カードを取り、セキュリティーゲートでそれをスキャンしてもらうのに手こずり、セキュリティー担当者に叱られて、首からつるすストラップを首にかけておくようにリマインドされて、左に曲がってそれから右へ、階段を上って2階へ行く。
435番。時々、ビザと更新された在留カードを取りに、誰かがカウンターへ行く。とてもありがたく思っている人もいて、職員に深々とお辞儀をする。その人たちが残っている私たちの方を向くとき、私はよく、喜びに満ちた笑みが彼らの顔中に広がっているのを見かける。ビザ更新のプロセスは大ごとであり、職員に少なくとも「おめでとうございます!」と言ってほしいと願う。私はドアの近くに立っていて、笑顔の訪問者たちが私のところを通り過ぎていくとき、彼らにハイタッチしたい気持ちになる。しかし、出入国管理局では騒ぎを起こさないのがベストだろう。私はいつも、職員がボタンを押すだけで、足元の床が開いて、傾斜台を通って直通で拘置所に送られるのを想像してしまう。
438番。今日の出入国管理局への訪問は、とりわけ特別だ。私は正式に永住者になるためにここに来ている。日本人と結婚しない限り、あるいは、政府が欲しがる特別な技能を持っていない限り、永住権を申請できるようになるまでに、日本で10年連続で働かなければならない。ニュージーランドの場合、それは2年で、5年経てば市民になるための申請を出せる。
441番。過去10年間、私はとても熱心に働いてきた。税金をたくさん払ってきた。模範的な住民になろうと努めてきた。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最もひどい期間には、永住権を持つ人が日本への再入国を拒否されるのを目にし、永住権を持っているという身分は、何も意味しないのではないかと思わされた。それでも、私はここにいて、ゆっくりとこの暑い部屋で焼けながら、このプロセスの最後のパートが順調に行くように願っている。1時間が経過した。
ピンポン。「443番のチケットをお持ちの方は、カウンターにお越しください」。私は小さな子どもをびっくりさせるくらいすぐに動いた。
私は、ピカピカの新しい在留カードを持ち、文字がこすられて消えるかもしれないと心配して「身分:永住者」という言葉の上を親指でなぞった。私は振り返って、部屋にいる他の人たちの方を向き、顔中に満面の笑みが広がる。偶然、別の女性と目が合う。彼女は分かっているかのように私に笑顔を返した。私は彼女に向けて、肯定して短くうなずき、部屋を出る。お祝いのときだ!