5つは私にとって最高記録かもしれない―1度に持ち運ぶカバンの数の話だ。私のことを「カバンおばさん」と呼ぶ友人がいるのも不思議ではない。
普段の「軽い」日でさえも、2つのカバンを持っている。1つは小さなサコッシュで、身体の前に来るように掛けて、公共交通カード、携帯電話、オフィスに入るアクセスカード、ペンを1、2本、ミント菓子1パック、名刺何枚かを取り出しやすくしている。もう1つはバックパックかショルダーバッグで、折りたたみ傘、水の入ったボトル、財布、予定表、本、ノートパソコンが入っている。
「もっと重い」日だと、仕事の撮影に必要なものや、着替え、数冊の図書館の本、友人に手渡そうとしているもの、食料品などを持ち歩いている。
「どうしてそんなにたくさんのカバンを持っているの?」とか、「何が入っているの?」といった質問に答えるのには慣れている。携帯電話以外何も持たずに出掛けるときもある友人たちからは特に困惑した表情が見える。結局、キャッシュレス決済はますます一般的になり、食事をするにも、バスに乗るにも、タップするだけでいい。銀行アプリの中には、携帯電話でATMから現金を引き出せるようにしているものさえあるので、ATMのカードさえいらない。
もちろん、これにはリスクがないわけではない。昨年、大手地方銀行のデジタルバンキングサービスに不具合が生じたとき、その銀行のモバイルペイメントアプリは作動せず、多くの人々が取引処理を済ませるのに必要な現金がなくて困った。
私のリスク許容度は低いのだろう。そして、起こり得るどんな状況にも準備ができているという感覚を持っていたい。そのため、折りたたみ傘と水入りボトル1本なしに出掛けることはない(長く外出するときは水は2本)。しかし、私はまだ、別の友人と同じ道はたどっていない。その友人は、思い付きで飛行機に乗りたくなったときや、マレーシアまで土壇場でバス旅行へ出掛けたくなったときに備えて、いつもカバンにパスポートを入れている。
私が旅行するときは、同伴者よりもたくさんの荷物を詰めがちだ。突然インフルエンザや下痢の発作になったときの薬は? 確認済み。替えの靴は? 確認済み。必要と思われるより多めの衣類は? 確認済み。
運ばなければならない、あるいは持ち歩かなければならない重さそのもので身動きが取れないときには時々、持ち運ぶ荷物が少ない人たちへのうらやましさが胸にせまって感じられる。携帯電話以外は何も持たずに歩き回れるなんていい気分に違いない! しかし、私にとっては、手荷物の重さが、心配を軽減するのに役立つ。私のカバンはドラえもんの四次元ポケットほどすごくはないかもしれないが、友人が何か1つ(か2つ)のものを必要としているとき、私はおそらく助けてあげられるだろう。