私たちの隣りにいた2人の観光客のことを、私は横目でこっそり見ずにはいられなかった。私たちは京都にある人気の喫茶店にいて、その観光客2人はコンビニのサンドイッチとおにぎりの包装を剥がしていた。
その喫茶店では栄養のある朝食のメニューをいくつか提供していたにもかかわらず、2人はそこでコーヒーしか注文していなかった。
たいてい海外からの観光客が多いが、客が喫茶店などの飲食店で「外部からの飲食物」を持ち込んで食べているのを私が見かけたのはこれだけではなかった。5日間の京都滞在中に、私たちはこういうことをしている人を少なくとも7人見かけた。
例えば、ミスタードーナツでは、数人の女性たちがドーナツを食べながら缶コーヒーを飲み、英語で大声でしゃべっていた。
ショッピングモールの混雑したフードコートでは、1組のカップルがカップ麺を調理するためのお湯をどうにか手に入れていて、そのカップ麺はどこか別の場所で買ってきたものだ。彼らはフードコートのどの店も利用していなかった。
これはどういうわけか許容範囲の行動になったのだろうかと不思議に思った。そのフードコートには「外部からの飲食物の持ち込み禁止」と書かれた張り紙があったが、喫茶店やミスタードーナツで同じようなものがあったかは気づかなかった。
そうした張り紙はシンガポールのカジュアルな施設ではよく見られる。しかし、それがなくても、そのような行為はとにかく許されないと思っていた。
まず第一に、事業主に対して不当だ。それはかなり無礼だとも思う。テーブルが空くのを待っている客がいたら、確実にそのような行為はさらにもっと配慮がないだろう。
食事に関する特別な制限がある人々には例外が設けられるかもしれないが、それでも、許可を丁寧に求めるのが正しいと思う。
私は、これは文化の問題なのだろうかと考え始めた。例えば香港では、賃料が通常、非常に高く、客は知らない人とでも相席で座ることが期待されている。
香港の多くの場所では、客1人につき一定以上の注文をすることも導入されている。例えば、あるデザート店では、客1人につき少なくとも飲み物1杯かデザート1つを注文することを義務付けるといったことがある。複数の観光客が4人がけのテーブルに座り、卵のプリンを1つだけ注文して分けて食べていて店員に注意されたことを、私は聞いたことがある。このことについてサービスが悪いと思う人もいるが、ごくわずかの利ざやとスペース不足を考えれば、客はもっと理解があるべきだと私は思う。
宗教による感覚も考慮すべきだ。例えば、イスラム教徒は飲酒しないものとされているので、ハラールレストランにアルコールを持ち込むことは明確なタブーだ。
宗教による懸念事項がない場合、もしくは、それほど厳しくない事業環境においてでも、客は飲食店の店主とスタッフに敬意を払うべきだと思う。彼らの立場に立って考えてみよう。もしあなたが喫茶店のオーナーだったら、外部の飲食物を持ち込んでいる客に対してどのように感じるだろうか?