最近家族と行ったヨーロッパ旅行は、観光にまつわる興味深い問いをいくつか提示した。
もしまだローマへ行ったことがないなら、ローマは非常におすすめできる。この街は壮観で、ほぼそのままの歴史的建築物がある古代へテレポートしたような感じがする。
しかし、ローマを訪れる1つのマイナス面は、この歴史的な街を旅行するものすごい数の観光客だ。私もその大勢の中に含まれるので、このことについてあまり文句は言えないが、ほぼ常にいる大勢の外国人に対処する地元の人々はどのような感じなのだろうかと思った。混雑した電車や駅、公共の場所に慣れている東京の住民にとってこうしたことは珍しい経験ではないと思うが、うんざりしているヨーロッパの都市もある。バルセロナは、地元の人々が彼らの都市への観光客の「侵略」にイライラして水鉄砲を浴びせ、7月にニュースになった。
もちろん、観光にはポジティブな影響とネガティブな影響がある。明らかな経済効果と雇用の創出は大きな利点であるが、大勢の観光客はバスや電車、コンビニエンスストアなどの場所でも長い行列につながる。
もう1つの例はオリンピックだ。歴史的に、あなたの都市がオリンピックを開催する権利を獲得することは大勝利として見られていた。そのような大きなイベントを開催する費用が今では収益を上回るようになり、それも最近では変化してきた。このことが、多くの大都市が(オリンピック招致に)応募する選択を辞退することとにもつながってきた。
延期して開催された2020年夏の東京オリンピックは、6,404億円の収益を生み出したが、開催するのに1兆4,200億円以上の費用がかかった。それに、オリンピックの主な収入源であるテレビからの収益の50%以上は、国際オリンピック委員会が確保している。
例えば、オーストラリアの都市ブリスベンが2032年のオリンピックを開催する権利を与えられたとき、ブリスベンは、1984年のオリンピック招致に向けた入札でロサンゼルスが勝って以来初めて、無競争でオリンピック招致を勝ち取った都市になった。
オーバーツーリズムの問題に対する解決策はあるだろうか?
明確な答えが近い将来に出てくるように見えない。世界の人口は今なお年に約0.9%の割合、すなわち年間約8,300万人増加している。富士山や京都、アテネのアクロポリスといった人気の観光地への訪問者数を制限する自治体もある。しかし、市全体への訪問者数に上限を設けることは調整が困難であり、実際には機能しないだろう。
最善なのは、大きな観光地では、観光客が地元の人々と平和に共存できるように観光客を案内して教育するスタッフをもっと多く雇用することだろう。
あなたの故郷に観光客が訪れるとき、あなたはどのように感じるだろうか? あなたの故郷に称賛を送ってくれていると考えるだろうか? それとも、観光客はむしろ迷惑だろうか?