「Come on, spill the tea」(直訳すると「ねえ、お茶をこぼしてよ」)。「Popping off!」。「Totally(完全に)delulu」。こうしたZ世代のフレーズをチャットのスレッドで見かけたとき、これらのどれもこれまで一度も聞いたことがなかった。こうしたフレーズに私は、やや困惑するか、完全に戸惑った。
文脈からいくらかの意味は見当をつけることができた。私に「spill the tea(お茶をこぼす)」を求めた友人は、私に最近のゴシップをシェアするように求めていた。
「delulu」は「delusional(妄想の)」の短縮だろうというのも推測できた。後になってからようやく分かったのは(グーグルで検索した後で)、「delulu」は非現実的な予測をしている人々をからかうためだけに使われるものではないということだった。ポジティブで希望のある考え方を意味することもある。そういう訳で、「Delulu is the soluu」はZ世代の話し方において「妄想は解決策だ」という意味を表すようだ。
「Popping off!」は見当もつかなかった。「pop off」の辞書の定義には、「突然もしくは不意に去る」と「怒って発言する」という意味があったが、友人がこれをテキストメッセージに打っていたので、どちらの定義も合わないように見えた。
直接尋ねることは、もちろん役に立つ。そうでなければ、それが褒め言葉だとは私には全く分からなかったかもしれない。この表現は、何か素晴らしい仕事をしたことについて誰かを褒めたいときに使う。もちろん、聞き手がこの特定の意味になじみがない場合、この褒め言葉は誤って解釈されやすい。
言葉が進化し続け、驚くべきだと思えるような速度で新しい言葉が現れる中で、2人の人物は理論上、同じ言語を話していながら、お互いに理解しにくいということも起こり得る。
直接対面して話しているときは、このことは問題になりにくいかもしれない。何しろ、私たちは相手がどんな意味で言ったのかすぐにはっきりさせることができるからだ。しかし、Eメールとテキストメッセージでは、特に語調や雰囲気を伝えるとなると、もっと難しくなることもある。
一見無害の「hello(こんにちは)」ですらも誤解される可能性がある。30代後半の友人は、彼女よりもずっと年下の同僚が、彼女の「hello」が無礼だと思ったと伝えてきたときにショックを受けた。「Hello! What time will you send me the report?(こんにちは! レポートは何時に送ってくれますか?)」にあるような「hello」についてだ。その年下の同僚は、友人が「お願いします。…を知らせてもらうことはできるでしょうか」のように質問を始めるべきだったと感じたという。
興味深いことに、この年下の同僚自身のメッセージが礼儀正しかったことはほとんどなかった。彼女は私の友人に「レポートはどうでしたか? もう承認してくれますか?」とテキストメッセージを送ってくるだろう。彼女のダブルスタンダードぶりは、私の友人もまた無礼なメッセージを我慢しようとしてきたので、友人をさらに怒らせた。
この年下の同僚はもっと気を利かせることができたかもしれないが、このチャットの結果として良いこともあった。私の同僚は彼女に率直に、「他の上司も、あなたのメッセージを無礼だと思うでしょうね」と言った。互いのコミュニケーションのスタイルについていら立ち続けるのではなく、彼女たちは最終的に、率直な会話をした。
コミュニケーションは、もちろん、完璧にはなり得ない。しかし、私たちは言葉(と絵文字!)にもっと気を配ることができると私は思う。コミュニケーションは双方向のものであり、お互い様なのだから。