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  3. 2024.10.4

House memories: The bat man家の思い出1:バットマン

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「あれはねずみのふんに見えるのだけど、どうしてこんなに天井の近くにあるのだろう? ねずみに羽根でもあったみたい」。私はパートナーに声に出してこう言いながら、飛ぶねずみというのはおそらく、コウモリだと気付いた。コウモリを表す日本語を調べる日がくるなんて想像もしなかった。しかし、私の日本語の語彙が増えているのは、まさにこの古い家に住んでいる恩恵の1つだ。

私たちが暮らしている賃貸物件は、珍しい物件だ。それは部分的に改築されている古い家で、家主たちが改築資金が尽きたのがどこか見て取れる。家の正面は、しっかりした戸の付いた素敵な大きな玄関になっている。居間の天井は高い。

しかし、台所と二階へ進むと、入りにくい無駄なスペースがたくさんある。二階にはトイレはなく、設置することもできない。危険なほど傾斜が急な階段は、足が小さな人向けだ。壁や天井に断熱材はない。施錠の仕組みはそれぞれの扉で異なっている。すき間や小さな穴があちこちにある。戸の枠の1つの上には、漢字で「右」と書かれた左向きの矢印がある。

私たちはコウモリを見たことがないが、この家に引っ越してきたばかりなので、私たちの心配事について不動産仲介業者に伝えた。業者は、私が「バットマン」と呼んでいる人物を連れてきた。私たちの玄関口に現れた高齢の夫婦がコウモリの駆除を専門としているのかどうか分からないが、バットマンと彼の妻が到着したとき、彼の小柄な妻は、任務に向けて準備ができているかのように、自信ありげに巨大なはしごを持っていた。バットマンが片方の腕にギプスをしているのに気付き、巨大なコウモリと戦っていて腕をけがしたのだろうかと少し思った。

バットマンと不動産仲介業者は、家の二階の間のスペースに上って入り、コウモリの痕跡を見つけたが、コウモリがもう住んでいないことを確認した。不動産仲介業者は、そのスペースに魅了されて、見てみるように私を招いたので、恐る恐る一目見に上がっていった。そのスペースは驚くほど広く、私はここを「ザ・ポータル」と呼ぶことにした。それは結果的に適切な名前だった。私たちの家の中へ他の多くの哺乳類や昆虫が入ってくるのはこのザ・ポータルを通じてだった。

バットマンの妻がはしごを持ち、私たち3人は全員、はしごを降りて戻ってきた。「コウモリはおりません。心配ありません」とバットマンは言った。その言葉が合図のようになって、彼ら3人全員は荷物をまとめて去っていった。「コウモリはいません。心配ありません」と、私は一人で繰り返した。それから、壁の高いところにあって手が届きにくいコウモリのふんを見上げたとき、「はしごがありません」とも気付いた。

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