医学は素晴らしい。何度も手術を受けたことがあって、高血圧のちょっとした薬とコレステロールの薬、またさらに甲状腺の薬を飲んでいる女性として、私はかなり元気で、健康で、感謝していると確実に言える。
ときどき、年を取るにつれて、標準的な体の痛みが少しある。当然のことだ。しかし、対処されていない別の苦しみがある:精神的な苦しみだ。臨床的うつ病や不安症などの深刻な病気のことを意味しているわけではない。それを治療するのにはたくさんの薬がある。私が話しているのは、私たちのほとんどが経験している日常的な苦しみのことだ―日々のつまらない仕事や社会でのささやかな葛藤、不満、悲しみなどだ。私たちのほとんどが、たいてい、ネガティブな感情や入り混じった感情を感じる傾向があることを示している研究もある。しかし、この種の苦痛は、普通の生活の一部として矮小化されている。
興味深いことは、そうした全ての苦痛は、肉体的なものであれ、精神的なものであれ、脳の同じ部分「前帯状皮質(ACC)」から始まっている。神経科学者は、あなたが拒絶されたり、無視されたりしたことが理由で傷ついたとしても、ACCはあなたの肉体がけがをしたときと同じくらい活発になることが分かった。
私は若いとき、ときどき頭痛になり、母はいつも私に「何を失くしたの?」と聞くものだった。それは冗談だと思っていたが、現実として、喪失感という感情は簡単に肉体的な痛みを引き起こすことがある。後に、母を亡くしたとき、私はほぼ1週間体調を崩した。インフルエンザにかかったような感覚がした。
当然、感情的な問題のある人々は時々、アルコールやドラッグで痛みを鈍らせようとすることがあるということになる。それは、適切な行ないではないかもしれないが、頭痛の原因が何であれ、市販の頭痛薬は頭痛の助けになるということを、私たちは経験から知っている。ACCはその違いが分からないので、その同じ薬が憂うつの場合にも役立つことがある。
私たちは毎日の暮らしの精神的な痛みにどのように対処できるだろうか? 幸福感についての科学を研究するハーバード大学の社会科学者アーサー・C・ブルックス氏は、いくつか良い提案をしている。2002年に彼は『アトランティック』誌の中で、あなたは体の中の痛みの場所を見つけようとすることができると書いた。緊張した肩や硬直した胃の筋肉をただ緩めるだけでもつらさがいくらか軽減されることがある。祈りや瞑想を実践する人々はよく、その方法で痛みを緩和している。もう1つ役に立つアドバイスは、あなたのことを気にかけてくれていたり、あなたの問題を共有している人々に話をすることだ。どういうわけか、精神的な重荷は、聞き上手の人と一緒にいると減っていく。同じように、他者の抱えている問題について話を聞くことは、あなた自身の問題の役に立つときもある。そのどれも効果がない場合、あなたはただ痛み止めの薬を飲み、ACCにあなたが対処しているという信号を与えるのがいいかもしれない。