先月のアメリカの大統領選挙における最大の話題の1つは、暗号資産ベースの予測市場が従来の世論調査に比べてどれほど正確であるかだった。従来の世論調査は、ドナルド・トランプ氏とカマラ・ハリス氏の大接戦を予測していたが、ポリマーケットやカルシといった暗号資産ベースの予測市場は、トランプ氏が選挙人投票で圧勝で勝つと正確に予測していた。この差はどのようにして起こったのだろうか?
まず、暗号資産ベースの予測市場がどのように機能するのかを見てみよう。ポリマーケットとカルシは、ブロックチェーン上に存在し、「イエス」または「ノー」といったシンプルな予測で現実の出来事に一般人が賭けをすることを可能にしている。予測市場はその後、賛否に賭けた量を計算することで、ある出来事が発生する可能性を、リアルタイムで評価する。もし、たとえば、何かが起こるほうに5,000万円が賭けられていて、起こらないほうに2,500万円が賭けられているとしたら、可能性は、起こる確率が75%に対し、起こらない確率が25%という結果になる。
従来の世論調査は、世界が現代技術を取り入れる中で効果的ではなくなりつつある。かつては、世論調査員は誰に投票するかを人々に尋ねるために固定電話に電話をかけていた。これは今ではもう効率的には機能しない:多くの人が固定電話を持っていないし、携帯電話にかかってきた見知らぬ番号からの電話に多くの人は出ない。それに、トランプの時代では、多くの人が彼に投票するつもりだとは認めたがらない。
しかし、暗号通貨の予測市場では、ユーザーは実際に自分のリアルなお金を賭けるので、ゆえに、正確な答える可能性がより高いということになる。このことはアメリカの選挙でも証明された。ちなみに、「テオ」としてだけ知られているある敏腕なトレーダーはポリマーケットで、トランプが勝つほうに3,000万ドル(45億円)を超える賭けをした結果、約4,800万ドル(72億円)の利益を得た。従来の世論調査の手法に頼るのではなく、彼は、回答者に彼らの近所の人々がどちらに投票しそうかを尋ねるという独自の調査を作り出した。トランプ氏に投票することを隠す人のせいで世論調査の結果が正しく出ない現象を避けることが目的だった。
では、このことは私たちの未来をどのように形成しうるだろうか?
自分が飲料会社で、新しいフレーバーを発売することを計画していて、もうすぐ来るホリデー用の広告が昨年より売上を高めるかどうかを確認したいと想像してみよう。あなたは、正確な答えをもたらさない可能性がある高いマーケティングキャンペーンではなく、ポリマーケットのような、参加者が特定の結果に賭けることができる市場を作っているプラットフォームを使うことができる。
参加者は実際のお金を新しいフレーバーに賭けるので、「ノー」を強く支持する賭けであれば、あなたが立てた戦略を考え直すか、追加のフレーバーをテストするかできる。政党はこのように、実際のお金を賭けるという力を活用して、これからの選挙に向けた準備で同じようなことができるのだ。
世界は急速に変化していて、従来のモデルは時代遅れで非効率的になりつつある。古い世論調査のモデルに何百万もつぎ込むのではなく、暗号通貨ベースの予測市場でもっと効果的にお金を使うことができる。