最近では人工知能(AI)の使用を避けることがますます難しくなってきている。Eメールで「返信」をクリックするとすぐに、「文章の作成を手伝う」という言葉と一緒に鉛筆型のアイコンが現れる。これは、Gmailが提供する新しいAI機能だ。
この機能が最初に出てきたのがいつだったか思い出せないが、この提案を受け入れたことはない。私は自分のEメールを喜んで書くし、そうする上で苦労はない。
それに、AIのアシスタントをたとえ使ったとしても、私は自分が伝えたいことを確実に正しく伝えられるよう、下書きを校正しなければならない。
私はチャットGPTも使ったことがない。何人かが、旅行の予定を立てるのにチャットGPTは特に役に立つと教えてくれた。理解するのが難しいかもしれない概念を理解するためにチャットGPTを活用するという人もいる。そういう人たちはチャットGPTに、例えば「小学生に相対性理論を説明してください」と尋ねてみるのかもしれない。
私が乗り気でないのは一部には、自分にとって物事を簡単にしすぎることに気が進まないということに起因している。なぜなら、私の脳は鍛錬から恩恵を受けているだろうと思うからだ。肉体の筋肉を使わなければ筋肉を失っていくのと同じように、知識を身に付けるプロセスをAIに任せるのではなく、それに時間と労力をかけることは、認知の筋肉に恩恵をもたらすと思う。
それに、私が必要とする情報を得るために、ウェブサイトをくまなく探したり、本を読みあさったりすることに私は満足を感じる。旅行の計画を私が立てているとしたら、旅行ガイドブックやウェブサイトをじっくり読むことも楽しみながら、友人たちにお役立ち情報がないか相談することも楽しむ。
私をチャットGPTから遠ざけているもう1つの理由:それは複雑な処理能力が必要とされるため、従来のウェブサイト検索よりもエネルギーを必要とすることだ。
残念ながら、これに関連する統計を探してみたときに、私の検索エンジンはすぐにAIの助けを得て生成された回答を私に投げてきた。
国際エネルギー機関(IEA)によると、チャットGPTへの1回の問い合わせには2.9ワット時の電力を使用するという―それは、一般的なグーグル検索よりもかなり多く、グーグル検索は0.3ワット時しか使わない。それはつまり、チャットGPTは1回のリクエストに付き、約10倍のエネルギーを使うということだ。
もちろん、AIは特定の用途においては役に立ちうるし、私たちはAIについてもっと学んでいくことにオープンであるべきだと私は考えている。しかし、エネルギー消費量を考えると、私たちはたぶん、くだらない目的のためにAIを使うべきではないだろう。
倫理的な影響と社会経済的な影響を認識することも重要だ。例えば、私たちがAIによって生成された画像を使うとき、私たちはアーティストやイラストレーターの人たちがまともな生計を立てることをより難しくしているのではないだろうか? 企業が彼らのAIモデルを訓練するために知的財産権のある作品を使用するとしたら、それは知的財産の盗用ではないだろうか?
AI を使うことを覚える前に私たちは、その技術の限界とAIが社会と環境に及ぼす影響についてまず学ぶべきではないか。