チリのパタゴニア沖で、ザトウクジラがカヤック乗りを短時間飲み込んだが、すぐに彼を無傷で解放した。この出来事はカメラでとらえられており、ネット上ですぐに広まった。
2月8日、アドリアン・シマンカスさんがマゼラン海峡のサン・イシドロ灯台付近のBahia El Aguilaで父親のデルさんとカヤックを漕いでいると、ザトウクジラが海上に浮上し、アドリアンさんと彼の黄色いカヤックを飲み込んだが、数秒後に解放した。
数メートルだけ離れたところにいたデルさんは、息子に落ち着いた状態を保つように促しながら、その瞬間をビデオで捉えた。
「落ち着いて、落ち着いて」と彼が言っているのが、クジラの口の中から彼の息子が開放された後で確認できる。
「死んでしまったかと思いました」と、アドリアンさんはAP通信に語った。「クジラが私を食べてしまったかと思いました。私を飲み込んでしまったのだと」。
アドリアンさんはその数秒間の「恐怖」を説明し、彼の本当の恐怖は水面に再浮上した後に始まったと語った。この巨大な生き物が彼の父親に危害を加えるのではないか、自分がひどく冷たい水の中で死に絶えてしまうのではないかと恐ろしくなったという。
この恐怖体験にもかかわらず、デルさんは集中を途切らせることなく、自分自身の心配と戦いながら撮影を行ない、息子を落ち着かせたのだ。