1970年代に中国との国交正常化に極めて重要な役割を果たし、米外交政策を形成してきたヘンリー・キッシンジャー米元国務長官が11月29日、コネチカット州の自宅で死去したと、同氏のコンサルティング会社が発表した。100歳だった。
キッシンジャー氏が20世紀で最も有力な国務長官だったことはほぼ間違いない。その功績には、パリ和平協定による米国のベトナム戦争撤退促進や、デタント(緊張緩和)政策の展開によるソ連との関係改善などが挙げられる。
1977年の退官後もキッシンジャー氏は米国内外の指導者らに助言し、国家安全保障問題に関する著作を20冊以上残した。今年7月には北京で習近平国家主席と会談した。
ドイツ生まれのユダヤ系難民だった同氏は、リチャード・ニクソン、ジェラルド・フォード両共和党大統領の下で米国外交トップを務めた。1973年にはベトナム戦争への米国の関与を終結させたとしてノーベル平和賞を受賞したが、批評家から戦犯呼ばわりされ、史上最も物議をかもした受賞の一つとなった。