前回の「TOEIC受験者のためのAlpha活用術」では、TOEICで高得点を取るために、いかに速読力が大切か、速読力を養成するにはどうしたらよいかということをご紹介しました。今回は、これに関連して、速読力とリスニングの関係についてご紹介します。
皆さんの中で、こんな経験のある方はいませんか? 「TOEICなどの試験でリスニングの問題に取り組んでいる時、1つ1つの単語は聞こえてくるのに、話されている内容が理解できない」。こうした方に足りないのは、実は「速読力」なのです。
リスニングは、英語が聞こえる耳さえしっかりしていれば問題ないと考えている人がいますが、これは間違い。というのも、英語の聞き取りには、以下の2つの段階があるのです。
①英語の音を耳でキャッチする
②耳から入った英文の意味を頭で解釈する
上で述べた「英語が聞こえる耳」とは、①の段階を指します。まずは、どんな単語が発話されたのかを耳でしっかり捉えなければ始まりません。ただし、皆さんお気づきの通り、これはゴールではありませんよね。当然ながら、単語が聞こえただけではダメ。耳から入った英文の意味を頭で解釈できなければ、聞き取ったことにはなりません(「聞いた」うえで、意味を「取る」から「聞き取り」というのです)。先ほど紹介した「1つ1つの単語は聞こえてくるのに、内容が理解できない」という方は、①の段階はクリアしているものの、②の段階でつまずいてしまっているわけです。
なぜ「1つ1つの単語は聞こえるが、内容が理解できない」という状態に陥ってしまうのか。一言で言えば、速読力不足です。ネイティブスピーカーのナチュラルスピードの英語は、(よほどの上級者でもない限り)日本人にはとても早く聞こえると思います。かなりのスピードで耳から英語が飛び込んでくるわけですが、当然ながら速読力がしっかりしていれば、耳から入る英文を頭で素早く処理して意味を解釈することができます。
このように、速読力とリスニング力は、切っても切れない関係にあるのです。「リスニングで内容が理解できない」という方も、おそらくゆっくり話してもらえれば意味を解釈できるのですが、英語がナチュラルスピードで耳から入ってくると、脳の処理が追いついていかなくなってしまうというわけです。
ここまで読んでいただければ分かる通り、速読力があるとは単に読むのが速いというだけではなく、言い換えれば「頭の中で英語を処理する能力が高い」ということ。しっかりとした速読力があれば、ネイティブスピーカーがどれだけ早口で発話しても、頭の中で素早く処理して、内容を理解できるようになりますよ。
「速読」という文字だけ見ると、何だかとんでもないスピードで読まなければいけないのではないかという印象を持ったかもしれませんが、そんなことはありません。一般のネイティブスピーカーの発話スピードは、(個人差はあるものの)1分間に160~180 wordsほどだとされています。つまり、これぐらいのスピードで読んで理解できれば、処理能力としては問題ないということ。Alphaの1面記事の分量が毎週だいたい200 wordsくらいですから、これを1分10秒ほどで読解するペースです。ぜひストップウォッチ片手に、時間を測って読んでみましょう。最初のうちはこのスピードで読むのが難しくても、前回ご紹介した活動を繰り返せば、必ず速読力身に付いてきますよ。