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第4回 Change Maker Awards(CMA)イベントレポート

第4回 Change Maker Awards(CMA)

世界に伝えたい「探究」の成果を「英語」で発信
中高生のためのプレゼンテーションコンテストCMA

社会の課題を解決する探究活動を行ない、その成果を英語で発表する、中高生のための英語4技能×探究学習プレゼンテーションコンテスト「Change Maker Awards」(CMA)は今年第4回を迎え、2月27日(日)に本選が開催された。本紙の高橋敏之編集長も審査員の一人として参加したコンテストの内容と、主なプレゼンテーションを紹介する。

■ 全国の中高生が参加、20組が本選へ

「Change Maker Awards」(CMA) は、一般社団法人英語4技能・探究学習推進協会が毎年開催しているイベントである。全国の中学生・高校生からエントリーを募り、エッセイ審査と動画審査を実施。昨年同様、今年もオンラインで本選のプレゼンテーションが行なわれた。

コンテストは「個人部門」と「チーム部門」に分かれ、今年のテーマは個人部門が「世界に伝えたい私の探究」(Show your Research/Action to the World)、「チーム部門」は「私たち× SDGs」または「私たち× 〇〇」(Attract the World with your Research/Action)。本選では、400を超えるエントリーから勝ち残った個人部門10人とチーム部門10組が、これまで取り組んできた探究の成果を各自7分間で発表した。

ウスビ・サコ京都精華大学学長・国際文化学部教授が審査員長を、テンプル大学ジャパンキャンパスのマシュー・J・ウィルソン学長、安河内哲也一般財団法人実用英語推進機構代表理事・東進ハイスクール/東進ビジネススクール英語科講師が審査員を務め、本紙高橋敏之編集長が個人部門、株式会社JTB 企画開発プロデュースセンターGlobal Link 実行委員会の及川秀昭日本事務局長が、チーム部門の審査に加わった。審査員たちは東京・渋谷の会場に集まり、探究8割、英語力2割の基準で審査を行なった。

CMA 審査委員スタジオ

スタジオで審査員がプレゼンテーションを視聴、質疑応答、審査するスタイルで開催

■ 中学生も途上国支援の発表で活躍

開会にあたり、英語4技能・探究学習推進協会の斉藤智代表理事は「新型コロナウイルスのパンデミック、気候変動による災害など世界が困難に直面する中で、皆さんの探究活動により、多くの人に課題を乗り越えるための勇気を与えてください」と挨拶した。

個人部門では、東京女子学園高等学校の内海怜子さんが、「Sharing Happiness of Donation with Artwork」(芸術作品で寄付の幸福を共有する)というテーマで、日本で寄付行為を広めるための取り組みを紹介した。内海さん自身、自作のイラストをプリントしたT シャツをインターネットで販売し、その売り上げを日本赤十字社やUNICEF に寄付したという。成蹊高等学校の中島佳鈴さんは、「Overcoming the Contradictions」( 矛盾を克服する」というテーマで、「日本はGDP 世界第3位という経済大国なのに、子どもの7人に1人が貧困状態にある」という矛盾を問題提起。中島さんは、子ども食堂でボランティアをしたり、無料で英会話授業を提供している団体の活動に参加したりしているそうだ。

本選出場者には、中学生も含まれている。筑波大学附属中学校の角本花菜さんは、「Safe water for everyone」(安全な水を皆に)というテーマで、自作のろ過フィルターを紹介。ペットボトルや石など身近なところにある材料を活用し、実験を重ねて改良を試みている。審査員のウィルソン先生の「なぜろ過フィルターを作ろうと思ったのですか」という質問に対し、「日本では当たり前のようにきれいな水が手に入りますが、途上国ではそれが難しい。誰もが自分で作れるろ過フィルターが必要だと考えました」と答えていた。

Safe water for everyone」(安全な水を皆に) 筑波大学附属中学校の角本花菜さん

Safe water for everyone」(安全な水を皆に) 筑波大学附属中学校の角本花菜さん

チーム部門は1組2~4人で、あらかじめ録画したプレゼンテーションを流し、その後審査員たちの質問を受けた。女子生徒3人から成る市川学園中学校の「Triple M」は、「Building towards clothes-circulating society」(衣類が循環する社会を構築する)というテーマで発表。途上国において低い人件費で大量の衣類が生産され、その多くが売れ残って廃棄されてしまう現状を指摘し、衣類に手を加えて価値あるものとして再利用する「アップサイクル」を提案。古着を活用し、ぬいぐるみなどに作り替える活動を行なっている。審査員の安河内先生が「とてもエネルギッシュなプレゼンでした。校外に活動を広められるといいですね」とコメントすると、「いろいろな人に協力を頼み、衣類の収集箱を設置する場所を増やしたい」と話していた。

頌栄女子学院中学・高等学校の女子生徒2 人「SAS」は、「Your Words Change the World」(あなたの言葉が世界を変える)というタイトルで、「コミュニケーション」というテーマに取り組んだ。日本の学校の生徒が授業中に発言しづらいのは教室環境に原因があるのではないかと考え、教師を囲んで机を「E」字型に並べる「E スタイル」を考案。実際に授業で使ってみたところ、「アイコンタクトが取れる」「意見が言いやすい」という感想が得られたという。

■ イスラム文化発信活動がAlpha 賞

約5時間かけて全20組が発表すると、その場で審査が行なわれ、最優秀賞である金賞には、個人部門では東京学芸大学附属国際中等教育学校の池田隼人さん、チーム部門では渋谷教育学園渋谷中学校・高等学校のSOLA2021が選ばれた。金賞受賞者には1人50万円の学習支援金が贈られる。

池田さんは、「Using Plastic Waste to Create Homes and Shelters」(住宅やシェルター作りにプラスチック廃棄物を使用する)というテーマで、プラスチックを使用可能な建材にするための実験を、一人でコツコツ続けてきた。実験は学校の理科室で行ない、「試作と失敗の繰り返しでしたが、強度が増す結果が得られたときには興奮しました」と言う。SOLA2021の女子生徒3 人は、世界17 ヵ国の中高生を招いて行なわれた渋谷教育学園渋谷のオンラインイベント「SOLA(The Shibuya Olympiad of Liberal Arts)2021」について発表した。同校は帰国生が多いことで知られているが、中学生だけのSDGs 会議を担当した中学生の吉崎舞さんの場合、英語を本格的に学び始めたのは中学に入ってからだという。

個人部門 金賞に輝いた東京学芸大学附属国際中等教育学校の池田隼人さん

個人部門 金賞に輝いた東京学芸大学附属国際中等教育学校の池田隼人さん

チーム部門 金賞に輝いた渋谷教育学園渋谷中学校・高等学校のSOLA2021(栗原 璃音さん、古川 華帆さん、吉崎 舞さん)

チーム部門 金賞に輝いた渋谷教育学園渋谷中学校・高等学校のSOLA2021(栗原 璃音さん、古川 華帆さん、吉崎 舞さん)

個人に贈られるThe Japan Times Alpha 賞は、「Liberating Japan from Islamophobia」(日本をイスラム恐怖症から解放する)について語った渋谷教育学園幕張中学校・高等学校の鳴神諒さんが獲得した。小学生のときにイスラム圏であるサウジアラビアで過ごした経験を持つ鳴神さんは、日本でのアラブやイスラムに対する偏見をなくそうと、学校で「アラビックカルチャークラブ」という部活動を起ち上げた。高橋編集長は、「Islamophobia の問題を自分事として真正面から向き合っていて、その解決のために努力していることがひしひしと伝わってきました」と、選考理由を語った。今年はオンラインで開催される中高生向けのアジア太平洋課題研究コンテスト「Global Link」への参加権が得られる「Global Link 賞」は、「Wear Long Buy Less」(長く着て少なく買う)というテーマで発表した桐朋女子高等学校の女子生徒4人組clocle が受賞。衣料ロス削減のため、服を寿命まで着用するための啓蒙活動や古着のリメーク方法などをSNS・ウェブサイトで積極的に発信している点が評価された。

なお、1人当たり30万円の学習支援金が得られる「銀賞」は前述の内海さんと「Triple M」に、20万円の「銅賞」は中島さんとSAS に贈られた。審査を終えたサコ先生は、「日本だけでなく世界の同世代の若者たちが抱える課題を、見事に分析していました。この探究活動は皆さんの将来、大きな意義を持つようになるでしょう」と総評した。このコンテストの模様は、CMA のYouTube アカウント(https://youtu.be/aEAPwCyUufo)で配信されている。ぜひ、今後の探究活動と英語学習の参考にしてほしい。

「第4回Change Maker Awards」(CMA)本選動画(CMA公式YouTubeチャンネルより)

「第4回Change Maker Awards」(CMA)入賞者写真

本選出場者一覧

個人部門:筑陽学園高等学校・玉田結渚/成蹊高等学校・中島佳鈴/長崎県立諫早高等学校・岸ふみ/東京学芸大学附属国際中等教育学校・池田隼人/東京女子学園高等学校・内海怜子/聖光学院中学校・香川誠道/渋谷教育学園幕張高等学校・鳴神諒/渋谷教育学園幕張高等学校・箭内阿弥/筑波大学附属中学校・角本花菜/早稲田大学高等学院・印南拓真

チーム部門:和歌山県立向陽高校・ローリエとゆかいな仲間たち(廣田結子、鈴木大輝、山東歩夢、有井潤)/頌栄女子学院中学・高等学校・AriSana SYNERGY(三角瑳那、岡部ありさ)/仁愛女子高等学校・Jin-ai Team D(野嶋萌絵、福田千乃、見崎友香)/福岡県立明善高校・ゴミ減らし隊(尾畑実優、栗原志朋、佐藤かのこ、竹下なつき)/神奈川県立光陵高等学校・Hotckn(小海老澤菜々子、坂本知優、栂村京香)/渋谷教育学園渋谷中学高等学校・SOLA2021(栗原璃音、古川華帆、吉崎舞)/桐朋女子高等学校・clocle(大橋愛、奥野愛弓、河本結生、小林にな)/市川学園中学校・Triple M(渡辺美羽、鈴木万桜、横山芽美)/頌栄女子学院中学・高等学校・SAS(杉村咲莉、佐藤絢音)/大阪市立咲くやこの花中学校・Generating innovation(北川桜子、新福美優)

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