もしあなたがマインツのことを少しでも聞いたことがあるとしたら、ここが15世紀に西洋の文化に革命をもたらすこととなった印刷機の誕生地であるとあなたは知っていることだろう。しかし、ライン川沿いにあるこの魅力的な都市は、他にも多くの魅力がある。マインツはヨーロッパや世界中の歴史に満ちている。
多くの旅行者のリストのトップには、旧市街地の中心付近にある聖マルティン大聖堂が入っている。975年頃に建設されたこのロマネスク様式の教会には、いくつかの大司教の墓がある。中へ入ると、この大聖堂は壮大で、像―骸骨を含めて―が壁沿いに並んでいる。音は高い天井に吸い込まれるように消えていき、ここで1日中過ごしてしまうこともできるが、それでもまだ何かを見逃しているような感じがするかもしれない。
こちらもまた多くの人々に愛されている別の教会に聖シュテファン教会があり、徒歩で約10分ほど離れている。ここは、マルク・シャガールによって作られたステンドグラスの窓で有名だ。これらの深い青色の窓は、旧約聖書からの場面を描いており、キリスト教とユダヤ教の伝統をつないでいる。シャガールは戦争中、ナチスが原因でフランから避難した。キリスト教徒もしくはユダヤ教徒でなかったとしても、これらの窓を見ることは深く心を動かされる体験になる。
もちろん多くの人々は、聖マルティン大聖堂の近くにあるグーテンベルク博物館を見にここにやって来る。主な見どころの1つは、ヨハネス・グーテンベルクの作業場の復元だ。ヨハネス・グーテンベルクの印刷機は西洋の文明の道筋を変え、大衆に教育をもたらすことに役立った。ここでは、彼のオリジナルの印刷機の復元版を見られるだけではなく、世界中の言葉を印刷した見本を見ることができる。これには、日本から来た770年の陀羅尼経(仏教の経典)も含まれ、これはこの博物館が所蔵する最古の印刷物だ。